『チェンソーマン』パワーに裏切られたデンジに見える素直さ 垣間見えるマキマの威圧感
パワーの虚言が炸裂。『チェンソーマン』第3話は、前回のラストで姿を確認するや否やぶっ潰したナマコの悪魔の件について、パワーとデンジがマキマに怒られる場面からはじまった。
パワーが怒られてしまったのは、ナマコの悪魔を発見した民間のデビルハンターがすでに現場にいたのに(前回、電話ボックスで報告をしていた)、それを無視して手をつけたから。民間がすでに着手している悪魔退治を公安が横から入るのは、業務妨害として逮捕されるレベルでタブーなことだと言う。
このお叱りシーンでわかるのは主に二つのこと。一つはパワーが嘘つきであること、もう一つはパワーがマキマに対して強い恐怖心を抱いていることだ。作画においてもデンジとパワーと違って、マキマが良い意味で少し崩れた“綺麗すぎない”顔で描かれている。見た目においても二人とは違うものとして映されている彼女は、登場シーンから常々その威圧感を放っていた。ヤクザの犬だったデンジを公安の犬にして飼ったり、裏切ったり成果が出なければ殺すと脅したり。決して直接的な言葉で言わずとも、目線や雰囲気で相手から自分の求める言葉や行動を引き摺り出そうとする。支配的なのだ。
パワーも魔人だからこそ、公安の味方をやめた途端に駆除対象になってしまうわけだが、血の悪魔だった彼女さえもマキマには逆らえない。マキマが彼女を紹介した時、「魔人の中では比較的知能や理性が備わっているから保護して、デビルハンターとしての訓練を受けさせていた」と説明したことを思い出す。あの時、マキマが“保護”という言葉を使ったのに対して、自動販売機の前で猫のニャーコを連れ去られた話をしたパワーは「マキマに“捕まった”」と話していたのが興味深い。
さて、そのニャーコはマキマに逆らえない理由もとい、人間嫌いのパワーが人間の味方をする理由だった。悪魔が人間の死体に憑依することで魔人になる、という設定があるためついパワーの生前の体の持ち主について考えてしまうものの、パワーとなってからは山の中で暮らしていたことがわかる。これまでに出てきた魔人といえば第2話でデンジが退治した奴しかいないが、確かにパワーの方が“会話がまともにできる”点で理知的だ。しかし、「目が合ったものは殺してきた」「悲鳴以外の音を聞くのは不思議」のセリフから、彼女もあの魔人のように目の前のものを瞬時に殺すくらい凶暴だったはずなのだ。