『君の花になる』夢物語にリアルなメッセージも 団結力を高めた8LOOMの事態が好転

 突然、ボーイズグループ“8LOOM(ブルーム)”の寮母として彼らの生活をサポートすることに!? そんな少女漫画のようなドリーミーな設定&展開の火曜ドラマ『君の花になる』(TBS系)第2話。彼らのトップアイドルになるという目標を、新しい自分の夢にすると宣言したあす花(本田翼)なのだが、その張り切り具合は少々ヒヤヒヤもので……。

 半年後に契約を切られてしまうことになった崖っぷちの8LOOM。クビを回避できる最後のチャンスは、配信1位を取ることだ。しかし、そんなことは誰も実現できるとは思っていないというライバルグループ・CHAYNEY(チェイニー)の敏腕マネージャー・香坂(内田有紀)の言葉にあす花は頭に血が上ってしまい、事務所の社長・花巻(夏木マリ)に「ファンを増やします」と啖呵を切ってしまう。

 気づけば8LOOMのアーティスト写真を撮影する現場にも乗り込み、商店街の方々にグッズ販売をお願いしてまわり、イベントへの出演交渉にも取り掛かる。勢いあまって大口を叩いてしまったとはいえ、どう考えても“寮母”の業務領域を逸脱した働きっぷりだ。

 しかも、もともと8人だった8LOOMにとって脱退したメンバーのことは非常にセンシティブな話題。それもメンバー曰く、ストイックな弾によって追い出されたようなものだというではないか。にもかかわらず、弾に対して自分が「8LOOMの8人目のメンバーになったつもりで頑張るから!」と言い切ってしまうところもドキッとさせられる。

 だが、そんな危なっかしくも8LOOMのために一生懸命になるあす花を、弾が“おもしれー女”的な存在として、次第に気になり惹かれていくのがTHE少女漫画的展開。そもそも地道に寮母として落ち着いていたら、ドラマにすらならないのだから。

 商店街の方々に向けて熱心に布教活動をした結果、酔っ払って歩けなくなってしまったあす花を、弾がおんぶして帰るなんていうテンプレートのようなシーンもしっかりなぞっていく。また、あす花が取り付けた商店街のイベントが手違いで着ぐるみショーだったというハプニングも、弾がこっそり着ぐるみ姿で登場してくれちゃったりする。

 なんなら転んだ拍子に頭の部分がポロリして正体がバレちゃったりして、そしてメンバーがちゃんと着ぐるみを着てショーに出てくれて絆が深まっちゃったりして……と、あす花にハラハラさせられつつも、最後にはハッピーな展開がちゃんと待っているので安心して観ていられるのも、このドラマの良さだ。

 とはいえそんな夢のようなストーリーのなかに、リアルを生きる私たちにも通じる大切なメッセージも含まれていた。8LOOMが売れなかったこと、グループの立て直しがうまくいかなかったことなど、うまくいかなかったことを何もかも自分のせいだと追い込む弾に、あす花は「全部背負って1人で抱え込んで、ちゃんとできるわけないじゃん」と諭す。人を頼りにできなければ、誰かに頼られることもできない。その学びは、もしかしたらあす花自身の過去とも関係しているのかもしれない。

 商店街イベントのハプニングでピンチに陥ったとき、あす花はかつて教師だったころのトラウマをフラッシュバックさせていた。まだ具体的に何があったのかまでは語られていないが、もしかしたら1人で抱え込んだことから、よくない事態になってしまったのではないかと思われる。そんな経験から、あす花は助けを求めて電話をかけるのだった。その相手は姉の優里(木南晴夏)。ヘルプにやってきた優里の口からは「よかった。あんたが困ったとき、ちゃんとSOS出せたから」と意味深なセリフも飛び出す。今後、明るく振る舞うあす花がなぜ教師を辞めたのか、その詳細が明かされるのだろう。

 あす花自身も感じていたであろう、弱い姿を見せる怖さ。誰かを導こうという仕事柄や役割であればなおのことだ。そこであす花とメンバーは、ツンデレかつ責任感の強い弾が背負っているものを、一つひとつ洗濯物と一緒に振り分けていくのだった。

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