女性W主人公の時代到来? 『リコリス・リコイル』と『シャドーハウス』の共通点

 アニメ『リコリス・リコイル』『シャドーハウス 2nd Season』の2作が、どちらも世界的に人気を得ている。『リコリス・リコイル』はテレビでの放送後Twitterでツイートが殺到し、世界トレンド1位を獲得するほど。『シャドーハウス 2nd Season』も放送を重ねるごとに人気が高まっており、海外のアニメランキングで2位にランクインするほど世界で評価されている。(※)

 この2作はどちらも、女性W主人公という形をとっていることが共通点だ。しかし作品を視聴していくと、他にも共通点の多い作品だということが見えてくる。今回は2作の共通点から、世界的に人気を獲得している理由を考えたい。

 『リコリス・リコイル』は、日本の犯罪を未然に防ぐため秘密裏に活動する「DA(Direct attack)」という組織に所属する女性暗殺者「リコリス」の錦木千束と井ノ上たきなの2人が主人公。『シャドーハウス 2nd Season』は、シャドーハウスという館で貴族の真似事をする顔のない一族「シャドー」の1人であるケイトと、シャドーに顔として仕える「生き人形」のエミリコが主人公だ。

 2作はまったく異なる世界観のアニメだが、放送を重ねるごとに共通点が浮かび上がってきている。

 まず対象的な性格の主人公たちが、影響を与え成長していくこと。『リコリス・リコイル』の千束は、リコリスでありながら相手が犯罪者であっても決して殺さない。そのことにたきなは当初反発していたが、徐々に千束の考えを理解していく。そのことは第5話で暗殺者と戦闘になった際、たきなが相手の急所ではなく足や手を狙って発砲していたことから伺える。また、最初はほぼ無表情だったたきなだが、千束と過ごすうちにケラケラ笑ったり、小躍りして喜ぶ姿を見せたりするようになる。

 『シャドーハウス』でもケイトは当初、エミリコのことを信用しきっていない様子があった。ケイトがエミリコにシャドーハウスの秘密を明かしたのは、出会いからしばらく後のことである。しかしエミリコの生き人形らしからぬ言動に少しずつ心を許していき、シャドーだけが与えられる「おいしすぎるパン(エミリコ談)」を分け与えるまでに関係が発展する。これはシャドーと生き人形の関係として、通常あり得ないことである。

 また、ケイトはエミリコのことを「誰かといる状況をいつも楽しんでいる、そんな純粋さが味方を作る」と評価していた。ケイトがとある理由で同期のシャドー2人に協力を求めた際、最初は断られたが「エミリコならどうするか?」を考え行動したことで、協力を得た経緯もある。

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