竜星涼が『ちむどんどん』で徹底したダメ男像 “沖縄”から“お茶の間”の一番星に!

 竜星の振り切れたハイテンション演技が見られるものというと、2020年公開の『ぐらんぶる』が顕著だが、“戦隊もの”に“学園もの”、一所懸命に仕事に励むサラリーマン役や、熱血デカに至るまで、挑んできた作品・キャラクターは多岐にわたる。2019年公開の『トイ・ストーリー4』では重要なキャラクターであるフォーキーの声優を担当し、声だけでも自在に感情表現できることを実証した。とても器用な俳優なのだ。そして、“真っ直ぐ”で“アツい”役柄がよく似合う。

 ニーニー役は、人々を置き去りにするような振り切れ具合が素晴らしいのだが、何よりもそれを“徹底”できているところに、竜星の俳優としてのプロフェッショナルな姿勢が垣間見える。SNSでドラマの登場人物を批判する声は少なくないが、俳優が役に取り組んでいる期間、その批判対象は演じる彼・彼女ら自身でもある。ニーニーへの批判は竜星本人にも届いていただろう。それでも彼は活き活きと、いや、むしろ突き抜けるように破天荒なニーニーをここまで育ててきた。単純&純粋であるキャラクターを最大限にまで膨らませ、表現することに挑み続けてきたのだ。俳優・竜星涼の持つバイタリティの大きさを再確認しているところである。

 そして、ついに転機が訪れた。たびたび横道に逸れながらも続けてきた養豚場での仕事が、低迷していたヒロイン・暢子を一気に引き上げることに繋がったのだ。ともに養豚場で働く清恵(佐津川愛美)への愛を訴え、二人は結ばれることにもなった。『ちむどんどん』の大団円が見え始めてきたのである。ワガママで、ケンカばかりで、欲張りで、人に騙されやすい“沖縄の一番星”であるニーニーこと比嘉賢秀。竜星涼が大切に育てたこの青年は、いまでは“お茶の間の一番星”だ。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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