キム・ゴウンの泣き笑いに感情移入する 『シスターズ』“三姉妹”が好演の韓ドラ3選

ナム・ジヒョンが愛によって輝いていく『ショッピング王ルイ』

『ショッピング王ルイ』(写真はMBC公式サイトより)

 確固たる信念と使命感を持つ報道局記者である、三姉妹の次女オ・インギョンを演じるのはナム・ジヒョンだ。『あやしいパートナー〜Destiny Lovers〜』、『100日の郎君様』、『リセット〜運命をさかのぼる1年〜』など幅広いジャンルでヒロインを務め、ヒットを飛ばしてきた彼女は、「ナム・ジヒョンが選択した作品なら、信じて見る」と視聴者から絶大な信頼を得ている実力派だ。『善徳女王』の子役で強烈な印象を残しながら約10年余り子役俳優として活動してきた彼女が、「次世代ラブコメクイーン」という修飾語を得て、女優としてイメージを変えるのに大きな足場になったのが『ショッピング王ルイ』だ。

 本作は、財閥の孫で温室育ち、生活能力ゼロの子犬系イケメン御曹司ルイ(ソ・イングク)が記憶喪失になったことで、ド田舎出身の純朴ヒロイン、ボクシル(ナム・ジヒョン)と出会い同居することから始まるラブストーリーだ。両親を事故で失い、裕福な祖母のもとで育ったルイは、その孤独から買い物三昧で「ショッピング王」と異名をもつまでに。だが久しぶりに海外から帰国する際に、事故で記憶を失いホームレスになってしまう。救世主のように現れた貧乏娘ボクシルと共に暮らすうちに、ルイは大切なものに気付かされていく。

 あらすじだけ見るとイケメン御曹司と貧乏娘との恋、記憶喪失、同居といった韓ドラあるあるの定番要素が思いっきり詰め込まれている王道ラブコメだが、新鮮なのはイングク演じるルイの、“ヒモ状態の大型犬男子”という唯一無二のキャラクターだ。序盤は働かない上に買い物しまくるルイに「働け!」と突っ込みつつも、いつの間にかルイのまっすぐな無垢さと心の美しさに、ヒロインと共に心動かされ、虜になってしまう。『ユミの細胞たち』を手がけたイ・サンヨプ監督のウィット溢れる演出力も加わり、笑ってキュンとして時に号泣してしまう、「ラブコメの決定版」だ。

 ナム・ジヒョンは記憶喪失のルイを支え、見守る、母性愛まで備えた愛らしいヒロインボクシルを魅力いっぱいに演じた。ボクシルは、素朴な田舎娘から、愛し愛されることでどんどん輝いていくまさに“シンデレラ”。どんなに貧しく困難な状況でも、無限に明るいオーラとカラッとした笑顔で乗り越えていく姿は、見ている人の心をパッと照らしてくれるはずだ。

パク・ジフの繊細な表現力が光る『今、私たちの学校は…』

『今、私たちの学校は…』Netflixにて配信中

 姉たちの愛を重く感じている三姉妹の末っ子オ・イネ役を演じるのは、パク・ジフだ。映画『はちどり』で、鮮烈な眼差しで14歳の少女ウニの心の内を表現し、「第18回トライベッカ映画祭」では最年少主演女優賞を受賞。韓国映画界の期待の星として浮上した有望株だ。そんな彼女が世界中で爆発的な認知度を得た作品が、『今、私たちの学校は…』だろう。公開日にNetflix世界1位を記録するという快挙を成し遂げ、『イカゲーム』や『地獄が呼んでいる』に続き、爆発的反響を得たNetflixオリジナル作品だ。

 本作は人気ウェブ漫画を原作に、ゾンビウイルスが広がった孤立無援の学校の中で、死闘を繰り広げる学生たちの姿を描いたサバイバルゾンビアクション。ある日、実験室にいたハムスターに噛まれた女子高生が未知のモンスターへと姿を変えてしまう。学校は一瞬でゾンビの巣窟へと化し、大パニックに。学生たちは生き残るために仲間と助け合いながら、キレッキレのゾンビたちと闘い、必死に脱出口を探していくという、スリル満点の展開が続いていく。

 学校という閉ざされた空間ゆえに、掃除道具や運動道といったアナログアクションで乗り越えていくしかない状況がさらに緊迫感を加速させる。放送室、体育館、図書館、屋上といった場所が1つのステージのようになっていて、一つずつクリアしていく過程がゲームのようで引き込まれてしまう。単なるゾンビアクションにとどまらず、未曾有の危機にこそ現れる人間の本性や、試される絆もリアルに描かれ、「人間ドラマ」が胸を熱くしてくれるのも韓ドラらしい。

 パク・ジフが演じるのは、学業成績はそれほど優れていないが、明るく愛らしい学生ナム・オンジョだ。外見を気にしたり、恋をしたりと、恐ろしいことが起こるまでは、典型的な青春ドラマの主人公だ。しかし学校にゾンビが発生すると、オンジョは消防士の娘らしく、友達全員が恐怖に震えているとき励ましながら、極限の状況の中で友情と愛を守ろうと闘っていく。幼なじみで、オンジョに真っ直ぐに思いを寄せる真のロマンチスト、チョンサン(ユン・チャンヨン)との、胸が熱くなるロマンスも見どころだ。彼女の全てを見透かされているような真っ直ぐな眼差しと、繊細な表現力が光る一作だ。シーズン2での活躍にも期待したい。

■配信情報
『ユミの細胞たち2』(全14話)
Amazon prime videoにて配信中
原作: イ・ドンゴン『ユミの細胞たち(ウェブトゥーン)』
出演:キム・ゴウン、パク・ジニョン、アン・ボヒョン、イ・ユビ、シン・イェウン
企画:メリーカウ
制作:スタジオドラゴン、スタジオN
アニメーション制作:LOCUS

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