『ユニコーンに乗って』が目指した“心の癒し” プロデューサーの松本友香&岩崎愛奈が語る

『ユニコーンに乗って』プロデューサー対談

「こんな人がいたらいいな」を託した“小鳥さん”

――SNSでは小鳥さんへの反響がものすごいですが、こういった反響は狙い通りだったのでしょうか。

松本:狙いまではいかないですけど、自分たちも「こんな人がいたらいいな」と思いながら夢を託して作ったので、みなさんを癒すことができる存在になってよかったなと思います。西島(秀俊)さん自身も“小鳥さん”というキャラクターへのアイデアを常に出してくださり、台本になかった場面も生まれたりしました。現場でもみんなで楽しく小鳥さんのシーンを作っています。

――具体的にはどんなアイデアを?

松本:杉野(遥亮)さんと前原(滉)さんがLUUPという電動キックボードに乗って出勤してくる役なんですけど、2話くらいでその撮影を西島さんが見ていて、「9話くらいで自分も乗りたいなー」って(笑)。「若い人たちの会社で自分も成長していく中で、そういうところも取り入れていければいいよね」というお話があったので、実際、9話に小鳥さんがLUUPに乗るシーンを作りました。

――あらためて、西島さんの起用理由についても聞かせてください。

松本:数年前までは公安のイメージがありましたけど、ここ数年は柔らかい役やエプロンをつけるような役も演じられていて。私たちが『家政夫のナギサさん』(2020年)をやっていたこともあるのですが、ご本人からにじみ出る優しさを見ていても、絶対にみんなが憧れる素敵な小鳥さんになるなと。それに、TBSの“日曜劇場”ではなく“火曜ドラマ”に出ている姿を見てみたいな、という思いもありました(笑)。

岩崎:西島さんは、世代を超えて愛されている俳優さんだなとすごく思ってます。今回は、そういう世代間の考え方やギャップを軽々超えていけるような作品になったらいいなという思いもあって、小鳥さんはその象徴の人ですし、西島さんにその役を担っていただけたら最高なんじゃないかなと思いました。実際、アイデアをたくさん出してくださいますし、常に現場の空気を穏やかにしてくださる、とても素敵な方で。一緒に作品を作ることを楽しんでくださっていることがわかるし、私もそれに感化されて「もっとこうしてみたいな」というアイデアが日々生まれてくるので、本当に小鳥さんを地で行く方だと思っています。

――アドリブも多い現場だそうですね。

松本:ドリポニはワンルームみたいな造りなので、永野(芽郁)さん、杉野さんだけにセリフがあるようなシーンでも、みんなが後ろにいることが結構あるんです。そのときに、西島さんをはじめ、前原さん、(青山)テルマさん、坂東(龍汰)さんの4人が後ろで何をやるかっていうことに命をかけていて(笑)。それを「劇団ドリポニ」と呼んでいて、西島さんは「団長」です。劇団ドリポニができたことをきっかけに、現場でいろんなアイデアを出し合って盛り上がっています。私たち(プロデューサーにとって)は引き算が重要なので、バランスを見てカットするときもあるんですけど、そこも含めて「カットされるかもしれないけど、何をギリギリまでやるか」みたいなことをいつも楽しんでいますね。

――たとえば、どんなシーンが?

松本:投資家の高山さんにもらったクッキーを食べるシーンで、たしか台本では坂東くんだけがむしゃむしゃ食べることになっていたんですけど、みんなで取り合って食べていました(笑)。あとはヨギボーの体勢だったり、距離感だったりっていうのは、常に考えてやっています。

――主人公の女性が仕事を頑張っていたり、年下の女性と年上の男性とのコンビだったり、『家政夫のナギサさん』との共通点が多いように思いますが、前作の手応えを活かしている部分はありますか?

松本:私は日々みなさんの記事を見て、「ああ、たぶんそういうことなんだ」と無意識だったのを気づかされるタイプなんですけど(笑)、純粋に“火ドラ=キュンキュン=直接的なラブ”だけじゃないなっていうのは『ナギサさん』を経て感じました。心の癒しとか、心の繋がりのキュンみたいなものもが、火曜の夜に合ってるのかなと思っていて。年の差ラブを描きたいというよりは、ちょっと自分よりも人生経験豊富な人からもらえる言葉、ちょっと普通のラブストーリーの男女とは違う関係性から得られるものが、癒しや力になることがあるなと感じたので、今回もそういったところは意識しています。

岩崎:『ナギサさん』の現場でも、「あの世代はこうだから」みたいな世代間のギャップや遮断が自分たちを窮屈にしているよね、とよく話していました。立場も、今まで考えてきたことも、生き方も違う2人が出会って、そこのギャップを埋められることができたらいいなって。遮断せずに心を開くことで、相互理解に繋がったり、お互いを尊重する一歩になったら素敵だな、というのは共通して思っていたことかもしれないですね。

――佐奈は今、小鳥さんと須崎の間で揺れています。結末について、どんな可能性を議論されたのか聞かせてください。

松本:正直、ゴールは企画書の段階でほぼ決まっていて、途中で変えるようなことはありませんでした。多様性を認めていきたいという思いもあるし、「好き」という一つの言葉にもいろんな捉え方があって、“この人への好き”と“あの人への好き”は違うと思うんです。その中で、佐奈が「自分はこの人とどういう関係でいたいのか」「どうすれば人生が自分にとって良いものになるのか」ということを考えて、答えを導き出していく物語になっていると思います。

岩崎:メグちゃんのセリフにも出てくるんですけど、「好き」にもいろんな種類の「好き」がある。本当にキュンキュンして、この人が好き! みたいな恋だけじゃない“好きの形”ってやっぱりあると思うんです。『ナギサさん』でも尊敬とか尊重から生まれる愛だったと思いますし、単純に恋とか好きとかでは言えない“愛の形”をまた一種、提示したいという思いがあるので、楽しみに観ていただけたら嬉しいです。

■放送情報
『ユニコーンに乗って』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:永野芽郁、西島秀俊、杉野遥亮、坂東龍汰、前原滉、石川恋、青山テルマ、山口貴也、武山瑠香、広末涼子
脚本:大北はるか
プロデュース:松本友香、岩崎愛奈
演出:青山貴洋、棚澤孝義、泉正英
編成:青木伸介、森岡梢
撮影:加藤春日
主題歌:DISH//「しわくちゃな雲を抱いて」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
音楽:青木沙也果
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/unicorn_ni_notte_tbs/
公式Twitter:@unicorn_tbs
公式Instagram:@unicorn_tbs
公式TikTok:@unicorn_tbs

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