『オールドルーキー』が掲げたすべての人へのリスペクト 反町隆史が陰の立役者に

『オールドルーキー』反町隆史が陰の立役者に

 さて、新町は高柳に頭を下げ、伊垣の移籍交渉を塔子や城とともに請け負うことになった。新町にもっとも心を動かされたのは高柳で、これまでも度重なる新町の単独行動を黙認してきたが、最終話でも新町の頼みを「勝手にしろ」と了承した上、最後には自ら新町を誘って新国立競技場に誘い出した。辞めるか残るかという、どう見ても間違えようのない選択肢をわざわざ示し、涙でボロボロになった新町に「ビクトリーに戻りたいです」を言わせる。新町の意向を尊重する体裁を取っているが、復帰を誰よりも喜んでいるのは高柳で、完全に照れ隠しなのが微笑ましい。ツンデレすぎる高柳を演じた反町は、清濁併せ呑む懐の深さとキャラ変のギャップ、存在感と奥行きのある演技で、豪華キャストが揃う『オールドルーキー』の陰の立役者だった。

 主演の重責を担った綾野剛。今作でも数々の印象的な“走る”シーンがあった。綾野が走るとドラマが動くとは巷間指摘されるところだが、走る、すなわち自らの足で一歩を踏み出し、継続する行為は、セカンドキャリアを切り開く今作のメタファーでもあった。奇跡の逆転劇を呼び込んだ原動力は「フォア・ザ・チーム」の精神で、人間不信に陥った高柳を変えたのは、新町の中で変わることのないサッカー少年の心であり、スポーツを通じてすべての人へのリスペクトを掲げたのが『オールドルーキー』だった。

■配信情報
日曜劇場『オールドルーキー』
Paravi、TVerにて配信中
出演:綾野剛、芳根京子、中川大志、岡崎紗絵、増田貴久、生田絵梨花、稲垣来泉、泉谷星奈、高橋克実、榮倉奈々、反町隆史
脚本:福田靖
演出:石井康晴
プロデュース:関川友理、松本明子
編成:東仲恵吾、高橋秀光
音楽:木村秀彬
主題歌:King Gnu「雨燦々」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
サッカー監修:大久保嘉人
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/OLDROOKIE_tbs/
公式Twitter:@oldrookie_tbs
公式Instagram:oldrookie_tbs

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