『初恋の悪魔』背後に潜んでいた巨大な事件 鹿浜鈴之介×小鳥琉夏×森園真澄の会話を聞く
一方、ヘビ女からリサの殺人疑惑について聞かされた鹿浜は、小説家で元弁護士の森園真澄(安田顕)が調べていた中学生刺殺事件との類似性に気づく。無数の刺し傷となくなった靴。そしてどちらの犯人も逮捕され服役中で冤罪の可能性があることから、犯人は他にいるのではないかと考える鹿浜と森園とヘビ女。そんな中、第3の事件が起こり、物語は次回に続く。
第5話と同様、今回も自宅捜査会議の場面はなかったのだが、その変わり、鹿浜と小鳥琉夏(柄本佑)が森園と話す場面が序盤にある。森園は彼が弁護士時代に関わった事件について、資料画像を見せながら鹿浜と小鳥に説明するのだが、刃物で19回刺したという殺害方法と、この事件の犯人が「似合っていなかった」と語る。
小鳥「犯罪者に似合うも似合わないもないでしょ」
森園「もちろんです。募金をした詐欺師にも、捨て犬のために奮闘した人殺しにも会ったことがあります」
鹿浜「人を殺す人間と、殺さない人間の間に境界線はない」
森園「しかし、手書きの文字や絵に人の個性が出るように犯罪にも犯罪者の個性というのが出るように思います」
森園は「人を19回刺せる人間とはどんな人間なのか?」と問いかけた後
どんな食べ物が好きなんでしょう?
食べログの点数は気にするでしょうか?
目玉焼きはソースでしょうか? 醤油でしょうか?
エコバックは持ち歩きますか?
マンションの住人に挨拶はしますか?
SNSに人の悪口を書きますか?
と、細かいチェックポイントを挙げていく。食べ物の好き嫌いや生活習慣を想像すると、正体不明の怪物としてイメージしていた凶悪殺人犯が、次第に人間味を持った身近な存在へと変わっていくことに驚かされる。
小説家の森園ならではのアプローチだが、こういった細かいチェックポイントを埋めていくことで坂元裕二は各人物の実在感を生み出しているのだろう。
第6話は、事件のスケールが大きくなっていく一方で、馬淵と星砂がカーテンを取り付ける姿や、鹿浜とヘビ女が料理を作る場面といった日常の描写が印象的だったが、記号的に語られがちな事件の当事者たちに、坂元裕二が生活感を与えようとしていることが、これまで以上に伝わってくる回だった。
■放送情報
『初恋の悪魔』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00~22:54放送
出演:林遣都、仲野太賀、松岡茉優、柄本佑、佐久間由衣、味方良介、安田顕、田中裕子、伊藤英明、毎熊克哉
脚本:坂元裕二
演出:水田伸生ほか
プロデューサー:次屋尚ほか
チーフプロデューサー:三上絵里子
制作協力:ザ・ワークス
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
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