『リコリス・リコイル』リコリス、吉松シンジ、人工心臓 後半戦の注目ポイントを整理

 次にミステリアスなダンディおじさん・吉松シンジに触れたい。吉松は特定の分野で天才的な能力を持つ人を無償で支援している団体・アラン機関の一員であり、その言動は未だに不明な点が目立つ。吉松は千束の殺しの才能を評価しており、第5話では病弱の老人・松下を遠隔操作することにより、松下の命を狙う殺し屋・ジンを千束に殺させようと計画。さらには、真島が千束と接触するように仕向けるなど、あの手この手で千束の殺しの才能を目覚めさせようと画策する。

 とは言え、吉松は“千束を殺人マシーンに変貌させようと目論む残虐な男”という感じもしない。松下のふりをしながら遠隔操作で千束と会話した時、千束が不殺にこだわっていることを聞いた吉松は、動揺のあまり「それではアラン機関が……その命を……」と口にする。まるで殺人をしないと千束の命が、人工心臓が止められてしまう、と言わんばかりだ。殺人の才能を有する千束を失うことにもったいなさを感じているのかもしれないが、他にも千束に特別な感情を抱いているように感じる。吉松と千束との一番最初の出会い、そしてどういう関係なのかも気がかりだ。

 また、“人工心臓”についても考えたい。第6話で千束が真島にボコボコにされ、リコリコに戻った際に千束の手足の怪我の具合を見るとどこも擦り傷程度。顔にいたってはビックリするほどの無傷。真島はリコリスを車で轢いた後に仲間と囲んで銃を連射するほど残忍な性格をしているため、“女性相手だから傷が残らないように優しく殴った”とは当然考えにくい。単純に回避能力の高さから真島の攻撃をかわしていただけなのかもしれないが、人工心臓の能力のようなものなのだろうか。吉松は人工心臓を“アランの才能の結晶”と評していたが、『鋼の錬金術師』の“賢者の石”のように、誰かの命の犠牲の上に作られたのだろうか。いずれにしても、人工心臓が本作の一番大きな謎と言える。

 今回は情報不足のため旧電波塔事件やリコリスの前身組織・彼岸花に関しては触れなかったが、まだまだ謎は多いため今後の展開は楽しみでしかない。原作がない作品だからこそ、作品それ自体だけでなく考察も楽しめる『リコリス・リコイル』。今からでも間に合うのでチェックしてみてはどうか。

■放送情報
『リコリス・リコイル』
TOKYO MX:毎週土曜23:30〜
とちぎテレビ:毎週土曜23:30〜
群馬テレビ:毎週土曜23:30〜
BS11:毎週土曜23:30〜
ABCテレビ:毎週水曜26:14〜
メ〜テレ:毎週木曜26:15〜
AT-X:毎週月曜22:00〜
ABEMA:毎週土曜23:30〜
原作:SpiderLily
監督:足立慎吾
出演:安済知佳、若山詩音、小清水亜美、久野美咲、さかき孝輔、河瀬茉希、小市眞琴、松岡禎丞、榊原優希、上田燿司
ストーリー原案:アサウラ
キャラクターデザイン:いみぎむる
副監督:丸山裕介
サブキャラクターデザイン:山本由美子
総作画監督:山本由美子、鈴木豪、竹内由香里、晶貴孝二
銃器・アクション監修:沢田犬二
プロップデザイン:朱原デーナ
美術監督:岡本穂高、池田真依子
美術設定:六七質
色彩設計:佐々木梓
CGディレクター:森岡俊宇
撮影監督:青嶋俊明
編集:須藤瞳
音響監督:吉田光平
音楽:睦月周平
制作:A-1Pictures
©SpiderLily/アニプレックス・ABCアニメーション・BS11
公式サイト:https://lycoris-recoil.com/
公式 Twitter:https://twitter.com/lycoris_recoil

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