『ちむどんどん』残り約1カ月で“タイトル回収” 田良島の男泣きに込められた人と人の繋がり

 『ちむどんどん』(NHK総合)第19週「愛と旅立ちのモーウイ」第95話では、「アッラ・フォンターナ」を旅立った暢子(黒島結菜)に続き、和彦(宮沢氷魚)が東洋新聞を退職することとなる。賢秀(竜星涼)を救うため、黒岩(木村了)率いるジャイアントビタミン商事で起こした騒ぎが“大乱闘”として週刊誌にリークされてしまったのだ。編集局長・笹森(阪田マサノブ)から実質のクビを言い渡され、和彦は会社に退職届を提出する。

 和彦の解雇に黙っていないのは、上司の田良島(山中崇)だ。責任を取って自身が辞めると頭を下げる田良島。新婚生活をスタートさせたばかりの上に、妻の暢子が沖縄料理店を開くという大事な時に夫である和彦を失業させるわけにはいかないという思いからだ。


 和彦の東洋新聞、最後の出社日。暢子を連れて和彦はこれまでの感謝を伝える。しかし、最後までただでは終わらない和彦。「いずれ新聞社は辞めるつもりでした」というのもこの挨拶の場では余計な一言に感じるが、そんなフリーの記者として新たな人生を歩み始める和彦に「ちょくちょく顔出せ。何でも相談に乗る」と温かな声をかける。和彦と暢子にそっぽを向けて記事の添削をしているのは、寂しさを紛らわすため。だが、週刊誌の件で田良島も上層部から目を付けられているということから「僕は東洋新聞社とも、田良島さんとも関係ないですから」と和彦は口走ってしまう。

 人と人は互いに支え合いながら生きているーーこの第19週では賢三(大森南朋)と賢秀、房子(原田美枝子)と暢子が「関係ない」「関係ある」というやり取りを繰り広げてきた。そのラストを飾るのが和彦と田良島であり、和彦の「関係ない」発言に田良島はデスクを勢いよく叩き怒りをあらわにし、ついに和彦たちと顔を向かい合わせる。唇と声を震わせ「二度と言うな」と絞り出し男泣きをする田良島。きっと暢子よりも、誰よりも長く和彦と時間をともにしたのが田良島であり、田良島にとっても和彦は部下であり気兼ねなく話せる家族のような存在になっていったのだろう。以前、田良島を演じる山中崇が『あさイチ』( NHK総合)にVTR出演していた際、田良島はきっと和彦に若い頃の自分を見ていて愛情がある、と話していたのを思い出す。

 暢子、和彦のそれぞれの卒業を経て、いよいよ沖縄料理店の開業準備が動き出す。店名は「ちむどんどん」に決定。開店まで2カ月という時、暢子のお腹には新しい命が宿っていた。仕事が新たな局面を迎えている中の妊娠、出産という流れは、広瀬すずがヒロインを務めた朝ドラ『なつぞら』(NHK総合)を彷彿とさせる展開だが、果たして。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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