【追悼】小林清志さんの役者魂はいつまでも消えない 大塚明夫へと継承された次元大介
小林清志さんのファンにとって、もっとも有名で印象深い役柄が『ルパン三世』の次元だったことは論をまたない。何しろ数年ごとの休止期間を挟みながらも50年間演じてきたキャラクターである。その次元役からの勇退を発表した後に放送された『ルパン三世 PART6』の第1回放送「EPISODE 0 ―時代―」は、小林次元の花道を飾るような粋な台詞が数多く用意された。まるでルパンと次元の50年を振り返り、懐かしむかのような。このエピソードでルパンがとっておきの酒として手にする洋酒が1971年製というのも憎い仕掛け。言うまでもなく最初の『ルパン三世』テレビシリーズの放送開始年が1971年だ。
小林さんは2012年に発売された企画版ソフト『ルパン三世 Master File』の中で、ファンに向けて以下のコメントを肉声で述べている。
「長いことファンでいてくれて本当にありがとう。これからも僕らは努力して面白い物を作っていきますんで、まぁ……月並みだけど、応援してください」(※1)
このコメントから10年間、実際に数多くの『ルパン三世』の名編を遺し、共演者の山田康雄さんや納谷悟朗さん、井上真樹夫さんが待つ地へと旅立ってしまった。リアルサウンド映画部では次元役を引き継いだ大塚明夫さんにインタビューを敢行したことがあるが(※2)、言葉の端々に小林さんが半世紀をかけて育てたキャラクターを大切に演じたいというリスペクトの念を感じる談話であった。小林清志さんの役者魂は、それを継承する人と愛するファンがいる限り、いつまでも消えることはないだろう。
参照
※1『ルパン三世 Master File』Blu-ray特典映像より
※2 https://realsound.jp/movie/2022/01/post-942286.html