『競争の番人』杏などから探る 働き方の多様性と生き方を認める“女性働きドラマ”の役割

 ビジネスの分野において“働く女性”がフィーチャーされはじめたのはいつの頃だったか。最近では、男性中心だった社会から、徐々にキャリアアップする女性が増え始めたように思う。ただ、何十年も前から男女同権・男女平等と叫ばれていた中で、ようやく一歩踏み出した程度。100%男女平等の世界が実現できているかと問われれば、答えはNOだ。女性管理職もまだまだ少なく、政治の世界においても女性の割合は少ない。仕事と育児の両立、労働環境の整備、職場の人間関係、セクハラ、パワハラ、モラハラ……解消できていない問題も山積みだ。

 そんな中、時代背景や価値観を反映することが多いドラマの世界において、女性のお仕事にスポットを当てた作品が多種多様になったことに気づく。この女性の働きドラマが、今後、重要な役割を担うことになりそうだ。

『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』(c)TBS

 2022年7月期ドラマの女性の職業を見てみても、公正取引委員会の白熊楓(杏)が登場する『競争の番人』(フジテレビ系)をはじめ、工務店の営業を担当する真行寺小梅(波瑠)の『魔法のリノベ』(カンテレ・フジテレビ系)、スタートアップ企業のCEO・成川佐奈(永野芽郁)の『ユニコーンに乗って』(TBS系)、自衛官候補生の教官・桜間冬美(白石麻衣)の『テッパチ!』(フジテレビ系)、東大卒のパラリーガル・石田硝子(有村架純)の『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』(TBS系)、生活安全課刑事・摘木星砂(松岡茉優)の 『初恋の悪魔』(日本テレビ系)、さらには大学に通いながらレンタル彼女として働く水原千鶴(桜田ひより)が登場する『彼女、お借りします』(ABCテレビ・テレビ朝日系)など、確かに多様に描かれている。

 これまでも、働く女性が登場するドラマは多くあったが、近頃は多様性に加えて、働くことに対しての“マインド面”を大切にする作品が増えた印象がある。ここに、制作者側の意図が隠されているのではないだろうか。

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