『新・信長公記』萩原利久のピュアな魅力が光る 永瀬廉演じる織田信長がついに動き出す

 明智光秀――本能寺の変で織田信長を裏切り、討ち取った人物として有名な戦国武将。『新・信長公記〜クラスメイトは戦国武将〜』(読売テレビ・日本テレビ系/以下『新・信長公記』)第3話では、ついに明智(萩原利久)と信長(永瀬廉)が急接近することになる。ただ、やはり歴史は繰り返された。家康(小澤征悦)が提出した「24時間以内に明智光秀を倒す」という旗印。前回、喧嘩最強の武田(満島真之介)の無様な姿を目の当たりにした生徒たちは、明智を守るために一丸となり、“反家康同盟”を結んだはずだった。あまり戦に興味を持たない信長まで、「力は貸さないが、“友人”としてならここにいてやってもいい」と、図書室で明智をかくまうことに。

 もう、ここまで周囲を巻き込めば、誰のことも裏切れないだろう。さすがの明智も、良心が痛むはずだ。そう安心したところで、家康がやってくれた。特進クラスの生徒が、戦国武将のクローンであると知っている彼は、“戦い方”を分かっていたのだ。明智が欲しいであろう言葉をかけて、彼を手玉に取ることに成功。自ずと明智は、“本能寺の変”と同様、守ってきてくれた人を裏切ることになる。

 明智を演じる萩原利久は、FANTASTICS from EXILE TRIBEの八木勇征とともにW主演を務めたドラマ『美しい彼』(MBSほか)での活躍が記憶に新しい。同作で萩原が演じたのは、幼い頃から吃音症を持ち、周囲に馴染めずにいた高校3年生の平良一成。スクールカーストの頂点に君臨している“キング”こと清居(八木勇征)に恋をすることで変わっていく心情を、繊細に表現していた。なかでも印象的だったのが、憧れの人物(=清居)に向けるピュアな眼差し。打算でもなんでもなく、ただ彼に惹きつけられているのだ……という気持ちが伝わってくるまっすぐさに、胸を打たれたのを覚えている。

 そのピュアな魅力は、『新・信長公記』でも健在だった。喧嘩が弱い明智は、人の目を気にして強いものに巻かれ、日陰の道を歩いてきた。「自分がない」「寄生虫だ」とバカにされるうちに、「変わりたい」「強くなりたい」という気持ちは日に日に強くなっていく。でも、どうしても変われなかった。受け身の生き方しかしてこなかった彼は、自分で方向転換することができないのだ。目の前にレールが敷かれて敷いていないと、どの道を歩けばいいのか分からなくなってしまう。

 そんな明智に、手を差し伸べたのが家康だったのだろう。「1人で生きていく強さを身につけろ」「お前が歩んできた裏の道を、俺が表に変えてやる」。ありきたりな言葉かもしれないが、いまの明智にとってはいちばん欲しかったものだったのかもしれない。たとえ、すべて家康の計算だったとしても、彼の心を大きく動かしたのには変わりはないのだ。

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