新垣結衣、『劇場版コード・ブルー』で見せた真骨頂 役への共感力と解像度の高さが武器に

 7月23日、『土曜プレミアム』(フジテレビ系)で、『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』が放送される。

 『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系/以下『コード・ブルー』)は、救命救急センターを舞台にフライトドクターを目指す若きフェローの成長を描いた医療ドラマで、これまでに3rd seasonまで放送された人気シリーズだ。山下智久、戸田恵梨香、比嘉愛未という豪華な主要キャストが名を連ねた同作で、大学教授の父親を持つ真面目で優秀な白石恵を演じているのが新垣結衣である。

 新垣といえば、2016年に放送された『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)のイメージがまだ根強く残っているが、彼女の魅力はやはり圧倒的なヒロインとしての輝きだろう。2007年公開の『恋空』をはじめ、『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』(日本テレビ系)や『ハナミズキ』など、新垣は数々の作品で透明感のある王道ヒロインを演じてきた。決して手が届く存在ではないけれど、どこか親近感のある新垣の笑顔に同世代の多くが一度は惹かれたことだろう。

 新垣はまた、2012年の『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)において正義感の強い新人弁護士役を演じ、2014年には『トワイライト ささらさや』で初の母親役、2016年には新垣の代表作となった『逃げるは恥だが役に立つ』と、年齢を重ねるごとに役の幅をひろげてきた。主題歌の大ヒットや社会問題が組み込まれた題材が話題を呼び、国民的なドラマとなった『逃げるは恥だが役に立つ』だが、それは新垣の再現性の高い丁寧な演技に加えて、彼女が持つ天性の愛らしいヒロインとしての存在感がフィットしていたのが大きい。

 そして、最近では大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)で北条義時(小栗旬)の初恋相手の八重を演じ、ミステリアスながら凛とした力強い表情を見せた。かつてはどこかパブリックイメージに忠実な役柄が多かった印象があるが、近年は比較的そこから自由に演じているように思う。

 そんな新垣の代表作として必ず挙げられるのが『コード・ブルー』である。だが、本作は新垣が出演してきた作品の数々と比べても異質な作品といえよう。というのも、同作は医療ドラマという性質上、多くがシリアスなシーンで構成されており、新垣の魅力である笑顔らしい笑顔はほとんど見られない。

 実際に、新垣が演じる白石は真面目で自己主張が少ない控えめな性格。それこそ最初の頃は患者とまっすぐ向き合うことができなかった。そして、自らの過失によって黒田脩二(柳葉敏郎)が腕を失った際には思い詰めて、一度は医者を諦めようとするが、緋山美帆子(戸田恵梨香)ら仲間のおかげで思いとどまる。2nd season以降の、かつての弱さは一切感じさせない強い意志で患者と向き合う姿は、当時の新垣のイメージからすれば新鮮に映った。

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