『キングダム』大ヒットの理由を復習 世界を魅了したアクションを『金ロー』で!

 そんな中で、世界をも魅了した圧倒的スケール感はいったいどこからきているのだろうか。それは監督を務める佐藤信介の功績が大きい。佐藤監督は、『GANTZ』(2011年)、『BLEACH 死神代行篇』(2018年)といった、ジャンプ系作品の実写を多く手掛けてきた実績の持ち主である前に、ゲーム『真・三國無双』シリーズのオープニングムービーの監督を務めた人物でもあるのだ。劇中の中の圧倒的スケール感、無双感は、確実に『真・三國無双』シリーズを手掛けた際の経験が活かされている。 

 さらにアクション監督を務めるのは、ジャッキー・チェンをリスペクトする下村勇二なのも注目すべき点だ。ブルース・リーにヌンチャクを教えた男として知られる、“和製ドラゴン”こと倉田保昭の倉田アクションクラブの出身者でもある。また、自身が監督を務めた『狂武蔵』(2020年)の主演を務めた坂口拓を左慈役として起用することで、クライマックスのバトルシーンをより盛り上げることに成功している。

 佐藤信介と下村勇二のタッグは、『アイアムアヒーロー』(2016年)や『いぬやしき』(2018年)など、今回が初めてではない。監督とアクション監督の息の合った演出が、本作のクオリティを一歩先に進ませている。

 俳優陣も忘れてはいけない。邦画界を支える実力派が集合したような豪華さである。特に、主演の山崎賢人と吉沢亮は、以前から似ていると言われてきた2人だ。そんな2人が、対照的なキャラクターでありながらも、志は同じ役を演じるのはおもしろい試みであると同時に、運命的にも感じられる。他にも変顔上等な橋本環奈や、大沢たかおの変貌ぶりなど、役者の演技力という点においても見どころが詰まっている。

 また本作で描かれているのは、単行本でいうと5巻あたりまでだ。漫画自体は65巻まで発売され(2022年7月現在)、まだ連載が続いている。映画を観た後に、漫画でもアニメでもいいから、続きが観たいという欲求を抑えきれなくなってしまう可能性が高いほど中毒性のある作品であることは間違いないだけに、そこは覚悟して観てもらった方がいいだろう。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記。

■放送情報
『キングダム』
日本テレビ系にて、7月15日(金)21:00~23:39放送 ※放送枠45分拡大
出演:山崎賢人、吉沢亮、長澤まさみ、橋本環奈、本郷奏多、満島真之介、阿部進之介、深水元基、六平直政、高嶋政宏、要潤、橋本じゅん、坂口拓、宇梶剛士、加藤雅也、石橋蓮司、大沢たかお
原作:原泰久
監督:佐藤信介
脚本:黒岩勉、佐藤信介、原泰久
(c)原泰久/集英社 (c)2019映画「キングダム」製作委員会

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