『彼女、お借りします』雨宮天&悠木碧の見事な感情表現 2期は実写版と合わせた楽しみも

 7月より第2期として放送されるアニメ『彼女、お借りします』。原作は『週刊少年マガジン』(講談社)で連載される同名漫画であり、2020年の夏にアニメ第1期が放送された作品だ。その年の12月にはシリーズ累計発行部数は1000万部を突破するという快挙を成し遂げている。

 第2期の放送がはじまり、再び大きな話題を呼ぶことが予想される本作は、どのような作品なのか。アニメ第1期の内容を踏まえ、作品の魅力を考察したい。

 主人公である大学生・木ノ下和也は交際相手にフラれてしまい、その寂しさを紛らわせるために「レンタル彼女」サービスを申し込む。予約当日に現れたレンタル彼女・水原千鶴とのデートを楽しんだ和也は、再び彼女とのデートを申し込むことに。しかし2回目のデート中に祖母・和(なごみ)が病院に運ばれたという知らせを耳にする。

 水原と共に和也は病院へ駆けつけるが、幸い和は元気そうな様子であった。しかし女っ気のない和也を心配する和に、和也は水原が自身の彼女だと嘘をついてしまう。和也と水原は、和をはじめとする身の回りにいる知人に偽りの関係を演じながら物語は展開していく。

 “演じながら”と記したように、作中では場面ごとに様々な“顔”を使い分ける登場人物の姿が描かれる。その筆頭として、レンタル彼女として働く水原の存在が挙げられるだろう。

 レンタル彼女としてデートをするときや、和也の友人らと会うときには、おしとやかで礼儀正しい水原の姿が描かれる。実際に、水原とはじめてデートをしたときの和也や友人たちは、水原を一目見るとたちまち顔色を変え、水原が街を歩けば多くの男性が視線を向ける。

 一方で、(主に和也に対し)感情が高まった際には口調が強くなるといった、荒々しい一面も見られる。レンタル彼女として働くときや和也の友人と交流するときと比べると、正反対な顔といえるだろう。

 様々な顔を使い分ける人物として、和也の元恋人である七海麻美の存在も忘れてはならない。大学の構内や飲み会の席といった人目につく場所では、男性たちにはおとなしく、かよわそうな表情を見せる。麻美にフラれた和也も彼女の存在を忘れようと努めるも、麻美のかわいらしさに時折目を奪われてしまう。

 そんな麻美も、物陰でSNS(俗にいう裏アカ)で自身のネガティブな感情を吐露するシーンが数多く描かれる。

 登場人物の様々な“顔”が開示されることでキャラクターの厚みが増し、リアルな人間味を感じることができる。また、常に自分自身を演じている水原や麻美の姿が多く描かれるなかで垣間見える、それぞれのキャラクターの何気ない素の表情には、露出機会の少なさもあいまって大きな新鮮さを覚える。ゆえに、本作に登場する人物は魅力的に映るのだろう。

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