『サマータイムレンダ』花江夏樹、河瀬茉希らの名演が光る 物語は5回目のループへと突入

 TOKYO MXほかにて放送されているTVアニメ『サマータイムレンダ』。物語は折り返し地点を迎え、慎平たちは着々と謎に包まれたヒルコ様の正体へと近づき始めていた。第11話、第12話では物語が一気に進展し、菱形家とヒルコ様の繋がりや朱鷺子の真意が明らかとなった。

『サマータイムレンダ』公式サイトより

 また、第12話では花江夏樹、永瀬アンナ、小野賢章、河瀬茉希、久野美咲といった声優陣が好演。彼/彼女らの声は物語にしっかりと厚みを加えていて、まさに第1クールのラストに相応しいものだった。

 第11話「食餌の時間」は、ストーリーがいよいよ深淵へとたどり着き始める重要な回だった。慎平、潮の影、窓の3人は菱形医院の旧病棟の奥へと進むと、大量の影が襲いかかってきた。3人はなんとか追い返そうとするが、潮の影は以前澪の影にやられた右腕の傷が治っていなかった。唯一治すことができる方法は本物の潮の身体をもう一度コピーするということだけだが、すでに潮はこの世にはいない。

 そんな中、背後から「動くな!」とどこかで聞いたことのある声が響き渡る。その声の正体は窓の実妹・朱鷺子だった。表の明るい声色とは全く異なるドスの効いた声色で表と裏の性格を区別している河瀬の演技はお見事という他ない。じわりと慎平のもとへと近づいてくる彼女の表情には恐怖すら感じた。だが、「澪には言わんといてください」と親友の澪には秘密を知られたくない朱鷺子の声はまだ心の中で葛藤があるようでもあった。

 また、同じく地下道へと降りてきていたひづると根津だったが、影のボスとしおりの影と対峙する。しかし、2秒先を読んで行動できるひづるの能力を完璧に読まれてしまい、根津とひづるは致命傷を追ってしまうのだった。これまでもひづるの驚異的な能力が発揮されていたが、それが今回で2秒先を読むという能力だと発覚した。

 第12話「血の夜」は久しぶりの本格バトルシーンにおける作画、声優の演技ともに光る1クールのクライマックスに相応しい内容だった。

 朱鷺子に案内された場所に鎮座していたのはハイネの姿をしたヒルコ様だった。朱鷺子とハイネはある条件のもと契約をしていたのだ。朱鷺子の父親が経営する菱形医院では死人をハイネに食べさせ続けて、彼女の食欲を満たしていた。ハイネの目の前に置かれた2つの棺の片方には火葬されたはずだった潮の姿が。死んだはずの潮がなぜ遺体のまま残っているのか。窓らの父親が火葬のタイミングで遺体をすり替えていたのだ。

 現状を掴めない窓は内緒でハイネと取引をしていた朱鷺子に怒りを隠せない。それも当然だ。窓からしたら、自分だけ蚊帳の外に置かれていたことへの怒りもあっただろうが、潮を殺した犯人である影と協力関係にあったことは何よりも許せないことだったのだろう。

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