そこから先は（一部の設定は省かれたとはいえ）原作にかなり忠実に運ばれる。ドライアイスでロウソクの火を消すことや鍵のすり替え、塔と本館との往復時間を短縮する方法に、シャンデリア落下のトリック。改めて考えてみれば、理科の実験のようなものや一をうまく加担させたもの、かなりの労力を費やさなければ成立し得ないものなど、『金田一』における犯人のトリックのパターンのほとんどが行われるこの事件は、「オペラ座館」というシンボリックな存在以上に最終回にもってこいの内容といえよう。犯人の動機の告白と、霧生（古川雄大）の幻影、いつのまにかフェードアウトしている他の登場人物たちと、さらりと一たちの日常描写に引き戻すエピローグ。

　“初代”の頃からと同様に、一と美雪の微妙な関係を時に進展ありげに描きながらもまったく進展させない『金田一』のルールを守り抜く。しかも“5代目”ではそこに常に佐木を盛り上げ役として介入させ、3人のキャラクター性とバランスが絶妙に保たれつづけた。道枝による金田一も愛嬌抜群なところがすこぶる良く、何よりも上白石の美雪は想像以上（始まる前は『金田一少年の事件簿N』の遊佐チエミのイメージが勝っていたが）。このキャストでもう1期、特に未ドラマ化の「魔神遺跡殺人事件」と「天草財宝伝説殺人事件」を映像化してもらいたいものだ。

※岩崎大昇の「崎」は「たつさき」が正式表記。

■配信情報
『金田一少年の事件簿』
Huluにて配信中
出演：道枝駿佑（なにわ男子）、上白石萌歌、沢村一樹、岩崎大昇（美 少年／ジャニーズJr.）ほか
File07ゲスト：山本舞香、戸塚純貴、霧島れいか、古川雄大、コング桑田、七瀬公、増田昇、六角慎司、石川萌香
原作：天樹征丸、金成陽三郎
漫画：さとうふみや（講談社）
脚本：川邊優子、大石哲也
監督：木村ひさし、丸谷俊平
主題歌：なにわ男子「The Answer」（ジェイ・ストーム）
チーフプロデューサー：三上絵里子
プロデューサー：櫨山裕子、岩崎広樹、秋元孝之、大護彰子
制作協力：オフィスクレッシェンド
製作著作：日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト：https://www.ntv.co.jp/kindaichi2022/
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公式Instagram：@kindaichi_5