『エルヴィス』『トップガン マーヴェリック』北米で異例の大接戦 映画館に盛況戻る

 そんな中、想像以上の苦戦を強いられているのが第5位の『バズ・ライトイヤー』である。『トイ・ストーリー』シリーズのスピンオフながら、公開2週目にして3日間の興行収入は1766万ドル。前週比-65.1%というピクサー史上ワースト2の下落率となった。ワースト1は『2分の1の魔法』(2020年)だが、同作はコロナ禍による映画館休業直前に公開されたという事情があった。業界の傾向としては回復が進んでいる分、事態はより深刻だ。

 もっとも本作は世界興収1億5237万ドル(内訳:北米興収8877万ドル、海外興収6360万ドル)を記録しており、コロナ禍としては決して悪い成績ではない。むしろ堅実なヒットとも言えるが、やはり問題はこれがピクサー映画であり、『トイ・ストーリー』シリーズの最新作であり、製作費2億ドルを投じた大作であるということだ(なお、低調の原因は先週の記事で分析している)。(参照:『バズ・ライトイヤー』北米で低調な滑り出しの原因は? 夏の映画興行に早くも一波乱

 ところで映画ファンが注目すべきは、第12位に初登場したA24最新作『Marcel the Shell With Shoes On(原題)』。6館公開ながら3日間で16万ドルを稼ぎ出し、今週末から北米拡大公開される。たった1インチの貝であるマーセルがドキュメンタリー作家の力を借りながら家族を探すという物語で、実写とアニメーションのハイブリッドによる“フェイクドキュメンタリー青春コメディ”という異色作。監督のディーン・フライシャー・キャンプが2010年にYouTubeで発表した短編映画を自ら長編映画化した。Rotten Tomatoesでは100%フレッシュとあって完成度は保証付き、こちらも日本公開情報が待たれる!

北米映画興行ランキング(6月24日〜6月26日)

1.『トップガン マーヴェリック』
3050万ドル/3948館/累計5億2172万ドル/5週/パラマウント

2.『エルヴィス』
3050万ドル/3906館/累計3050万ドル/1週/ワーナー

3.『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』
2644万ドル/4233館/累計3億277万ドル/3週/ユニバーサル

4.『ブラック・フォン』
2337万ドル/3150館/累計2337万ドル/1週/ユニバーサル

5.『バズ・ライトイヤー』
1766万ドル/4255館/累計8877万ドル/2週/ディズニー

6.『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』
172万ドル/1855館/累計4億919万ドル/8週/ディズニー

7.『Jug Jugg Jeeyo(原題)』
72万ドル/318館/累計72万ドル/1週/Moviegoer

8.『Everything Everywhere All at Once(原題)』
53万ドル/524館/累計6608万ドル/14週/A24

9.『The Bob’s Burgers Movie(原題)』
51万ドル/590館/累計3104万ドル/5週/20世紀スタジオ

10.『バッドガイズ』
43万ドル/1033館/累計9548万ドル/10週/ユニバーサル

(※Box Office Mojo調べ。データは6月27日未明時点の速報値であり、最終確定の数値とはやや誤差が生じる可能性があります)

参照

https://www.boxofficemojo.com/weekend/2022W25/
https://deadline.com/2022/06/box-office-elvis-top-gun-maverick-black-phone-1235052035/
https://deadline.com/2022/06/top-gun-maverick-jurassic-world-dominion-elvis-global-china-international-box-office-1235052205/
https://variety.com/2022/film/box-office/box-office-elvis-top-gun-battle-1235303525/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/elvis-box-office-opening-top-gun-maverick-1235171971/

■公開情報
『エルヴィス』
7月1日(金)全国公開
監督:バズ・ラーマン
出演:オースティン・バトラー、トム・ハンクス、オリヴィア・デヨング
配給:ワーナー・ブラザース映画
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