綾瀬はるか×大泉洋のバディが“本当の意味”で成立 『元彼の遺言状』見応えのある法廷劇

 弁護人からの質問→検察からの異議申し立て→裁判長がそれを認め、弁護人に次の質問をさせるというひとつの決まりきった流れが何度も何度も矢継ぎ早に積み重ねられていくことで、画面に緊張感が与えられスピード感も高まりを見せる。そして検察側の申し立てが却下されることによって、ここが“見せ場”であるのだと明らかにさせる。それを経て描かれる後半では、6年前の事件現場であるリストランテに関係者全員が集められ、真相の解明が行われていくというミステリーのセオリーに則った展開。結末がわかっているからこそできる詰め方もまた、実に巧妙だ。

 これまでのエピソードのように、最初にモチーフと思われたミステリを覆して別のミステリに帰結させる方法論ではなく、今回の場合は法廷ドラマとしての『検察側の証人』と、ミステリードラマとしての『オリエント急行の殺人』を両立させたパターンといえようか。それでこそ弁護士を主人公にしたリーガル性と、探偵ものよろしく事件を解決するミステリー性のハイブリッドが実現するのである。ちなみに今回の終盤で古書店主が読んでいたのはアーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズの冒険』。これは次のエピソードのフックというより、麗子と篠田というバディが本当の意味で成立したことをあらわしたものと見える。

■放送情報
『元彼の遺言状』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:綾瀬はるか、大泉洋、生田斗真、関水渚ほか
原作:『元彼の遺言状』新川帆立(宝島社)
脚本:杉原憲明
演出:鈴木雅之、澤田鎌作
プロデュース:金城綾香、宮崎暖(「崎」はたつさきが正式表記)
音楽:川井憲次
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/motokare/
公式Twitter:@motokare_cx_
公式Instagram:@ motokare_cx

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