『ちむどんどん』『半分、青い。』『スカーレット』 朝ドラヒロインから学ぶ仕事への姿勢

朝ドラヒロインから学ぶ仕事への姿勢

 今週で9週目を迎えた『ちむどんどん』(NHK総合)では、ヒロインの比嘉暢子(黒島結菜)が、西洋料理店「アッラ・フォンターナ」のオーナー・大城房子(原田美枝子)より、おでん屋の経営立て直しを命じられる。

 暢子は、明るい性格でポジティブだが、たとえ上司でも言いたいことは言うし、真っ直ぐすぎるところがあって欠点も多い。さまざまな課題を与える房子はそんな彼女の性質を見抜いて、人生経験を積ませているのかもしれない。現に、東洋新聞社のボーヤ(雑用係)を命じられた暢子は、社会人として及第点の行動ができるようになっていた。

 窮地に追い詰められる暢子を見ていると、暢子から学ぶべきところがあると気づいた。前出のボーヤでは、当初失敗続きだったものの、いつの間にか、先輩社員が仕事をしやすいよう考えて動く場面が見受けられた。こちらは、社会人としてはもちろん、心の成長も感じられるシーンだった。

 暢子のように料理が生きがいで、好きな仕事に就いた喜びを感じている中での“異動”は心折れるものがある。魂が抜けて無気力になっても仕方がないところだ。しかし、暢子は腐らず、前を向いた。料理への情熱は持ちつつも、自分に置かれた場所でやりがいを見つけて、生き生きと働いた。きっとおでん屋でも努力を怠ることはないだろう。

 実は筆者も同じような状況に陥ったことがある。好きな仕事をしていた中、突然、興味のない世界の仕事をせねばならなくなり、毎日が灰色だった。やりがいを見つけられないまま悩み続けていたあのとき、暢子を見ていれば、100%晴れ渡らないにしても、少しは前を向こうと考えたのではないか。

 思えば、朝ドラの歴代ヒロインからは、仕事に対しての“学び”を得ることが多いような気がする。

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 永野芽郁が主演を務めた『半分、青い。』(2018年)は、経験から得るものの大切さを教えてくれた。主人公・鈴愛(永野芽郁)は、漫画家デビューを目指して上京、漫画家として一度は成功を掴むものの、挫折を味わい夢を断念。その後、100円ショップ「大納言」でアルバイトをしたり、扇風機の開発に携わったり、職を転々としていく。

 人間、幼い頃から追いかけていた夢を“捨てる覚悟”を持つのはなかなか難しい。その世界に飛び込んだならなおさらだ。しかし、鈴愛は自身が置かれた場所で、新しい目的を持って突き進んだ。ここは暢子とも共通するところだろう。

 どんな仕事だって切り替えは大切。いかに失敗や経験を次に生かすかが重要である。漫画の道を諦めた鈴愛も、娘のために描いた絵が「岐阜犬」のデザインに繋がったし、扇風機製作に悪戦苦闘していたときは「大納言」で聞いたことをヒントにし、光明を見出した。今までやってきたことを無駄にせず、次の仕事へと生かしたのだ。

 自身が生きてきた歴史の中に、物事を解決するヒントがあると教えてくれた鈴愛。“人生七転び八起き”を体現してくれた彼女には感謝を伝えたい。

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