眞栄田郷敦×加藤柚凪の“親子”をはじめ完璧な配役! 心を癒やす『カナカナ』のおもしろさ

 佳奈花を演じる6歳の加藤柚凪ちゃんが、とにかくかわいい。周りの人の心の声が聞こえるため、佳奈花はよく心の中で返事をしている。例えば、マサの親友・勇介(前田旺志郎)が「なんでこの子、こんなにマサに懐いてるんだ?」「まさか、何か特殊な能力があるんじゃ……?」と考えているのがわかると、「うう、この人、スルドイ……」と心の中でハラハラ。

 困った顔から嬉しそうな顔まで、周りの心の声に合わせて表情が変わっていく。表情に合わせた声の演技にも違和感がない。マサが営む料理屋に集まる常連たちは「かわいい〜」とメロメロになっているが、視聴者も同じ気持ちになる。

 子役といえば、かつて小学生兄弟漫才コンビ・まえだまえだとして活躍していた、前田旺志郎が重要な役どころで出演しているのも注目だ。子どもの頃から愛らしい笑顔を見せていた前田は、現在21才。前田演じる勇介は、笑ったときの目がかわいい。真っ直ぐすぎて疑うことを知らないマサよりは、色々なことを知っているものの、やはりちょっとおバカ。親しみやすいキャラクターを、子どもの頃から変わらない笑顔で演じている。

 偶然にも、主演の眞栄田郷敦とふたりとも「まえだ」。ドラマ内では“新生まえだまえだ”を思わせる掛け合いを見せている。

 彼らを取り巻くキャラクターたちにも魅力がある。例えば佳奈花をつけ狙う、怪しい叔父を演じる武田真治。ビシッとしたスーツに身を包み、小さい子につきまとうが毎回うまくいかずに逃げていく。まるでアニメキャラのような悪役が妙にはまっている。

徹底的に役づくりをする眞栄田郷敦

 主演の眞栄田郷敦は、身長183cmの高身長で、オリエンタルな空気をまとっている。5月20日放送の『あさイチ』(NHK総合)では、高校時代に吹奏楽部の強豪校で寮生活を送り、部長を務めていたエピソードを披露。サックスで東京藝術大学を目指していたというから、相当ストイックに打ち込んでいたのだろう。芸能活動を始めたきっかけは東京藝大への入学が叶わなかったことだという。

 吹奏楽へ捧げた眞栄田の情熱が演技に移り、デビュー4年目にして、人気漫画が原作の映画『東京リベンジャーズ』(2021年)、『プロミスシンデレラ』(TBS系)など話題作に次々と出演している。ドラマ『ノーサイド・ゲーム』(TBS系)では、ラガーマンを演じるにあたり体重を15kg増やして挑んだ。

新進俳優・眞栄田郷敦が語る、『ノーサイド・ゲーム』挑戦の裏側 「最終的には23kg」

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 本作で演じるマサは、元ヤンキーで、父親代わり。寡黙で心が温かい。しかし、人の言うことをすぐ間に受け、しかもそれが微妙にズレているといった一面もある。「佳奈花ちゃんのために公園デビューをした方がいい」とアドバイスを受けると、真っ黒なスーツに黒いネクタイ、黒ずくめのスーツ姿で“公園デビュー”に行ってしまうエピソードも。このように、本作ではこれまで演じたキャラクターとはまた違ったイメージを見せている。ただ、マサがふいに見せる周囲の人たちへのまなざしには惹きつけられる。何事にも全力・本気で取り組むマサは、眞栄田自身とも重なるところがあるのではないか。

 マサをめぐる三角関係が起きたり、佳奈花を狙う沢田の周りに不穏な動きがあったり、気になる展開が出てきている。マサと佳奈花はどうなるのか。本作は週末にまとめ放送をしているので、今からでもぜひ観てみてほしい。のどかで懐かしい港町の雰囲気と、心温かいキャラクターたちが、1日の終わりをほっとした気持ちにしてくれるだろう。

■放送情報
『カナカナ』
NHK総合にて、毎週月曜~木曜22:45~23:00放送
出演:眞栄田郷敦、白石聖、前田旺志郎、加藤柚凪、栄信、瀧澤翼、渡辺大、新川優愛、桐山漣、橋本じゅん、宮崎美子、武田真治ほか
原作:西森博之『カナカナ』
脚本:荒井修子、木滝りま
音楽:眞鍋昭大、宗形勇輝
制作統括:海辺潔(NHK)、黒沢淳(テレパック)
演出:河原瑶、守下敏行、室井岳人
写真提供=NHK

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