『明日カノ』萌役で原作のイメージを見事に再現 お姉さんキャラ確立させた箭内夢菜の凄み

 原作コミックが人気の『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS/TBS)のキャラクター、萌が原作の忠実再現だと話題を呼んでいる。演じるのは、『ゆるキャン△』(テレビ東京系)シリーズや『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系/以下『3年A組』)、そして『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)の出川ガールとして活躍する箭内夢菜。まだ駆け出しの彼女に注目が集まる中、これまでの出演作や本作でどのような演技を見せるのか迫ってみたい。

 箭内は、福島県郡山市出身の2000年6月生まれ。三吉彩花に憧れ、雑誌の専属モデルになることが夢だった箭内は、2016年に雑誌『Seventeen』の専属モデルオーディション「ミスセブンティーン2016」に応募。最終候補で落選するも、同年に原宿で現在の事務所にスカウトされ、再び挑んだ「ミスセブンティーン2017」でグランプリを獲得し、夢の専属モデルとして活動をスタートした。

 俳優デビューは、2018年に放送された土屋太鳳主演のドラマ『チア☆ダン』(TBS系)のチアダンス部・橘穂香役。メインキャストであり、初の演技でバレエ経験者というダンスの腕前が期待される役だが、彼女自身実際に器械体操の経験もあり、役の設定に違和感のない存在感と演技を見せていた。ただそれ以上に、箭内が1人1人に手作りで作ったミサンガが第8話で実際にチームの絆を象徴するアイテムとして扱われ、ドラマを超えた友情の証となったというエピソードが注目を集めた。

 2019年は菅田将暉主演ドラマ『3年A組』に生徒の1人として出演。アイドル志望で、SNSでフォロワーを増やすことに必死な結城美咲役を演じた。そして『3年A組』と同じ世界の話とされる『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』(日本テレビ系)にも同じ役で登場。

 また、古田新太がゲイで女装家の高校教師を演じた『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系)では、チアダンス部所属という『チア☆ダン』を彷彿とさせる役、『ブラック校則』(日本テレビ)では真面目すぎる生徒会長役を演じるなど、女子高生役で立て続けに出演。また、映画『雪の華』でスクリーンデビューを果たし、映画『殺さない彼と死なない彼女』では、ひたすら1人の男子に「好き」と告白をする一途な子を熱演し、愛おしい存在感を見せていた。

 これまで、透明感とナチュラルな可愛さで数多くの女子高生役を演じてきた中で、女優・箭内の新たなスタイルが確立した作品が、2020年と2021年に放送された『ゆるキャン△』シリーズ。彼女が演じたのは犬山あおい。お姉さんらしく落ち着いた性格で、関西なまりで話すおっとり系であり、肝心な時にみんなを気づかう陰のリーダー的存在だ。これまでの女子高生役では、アイドルっぽい可愛らしさだったり、専属モデルらしく今時の子を演じてきたが、犬山は登場するだけで、お姉さんを超えてお母さんのような安心感がある。特に、快楽主義的な行動派の大垣千明(田辺桃子)の色々なおふざけに、天然の各務原なでしこ( 大原優乃)がボケるのに対し、犬山がニコニコしながら見守ったり、ツッコんだり、一緒にボケ倒すなど、話題をまとめていく安心感が絶大だった。これまでにない落ち着いた演技と、年齢を重ねた箭内が大人っぽい見た目になったことで、全てを受けて止めてくれそうな犬山のキャラに見事にマッチした。

【キャンプ】箭内夢菜がソロキャンプに初挑戦【ゆるキャン】

 また、『ゆるキャン△』がシーズン2まで行く間に、2020年からYouTubeチャンネル「箭内夢菜のユメ」を開設。食べ物ランキングや、スタッフが体型の変化を気にした美ボディ企画、キティちゃん好きの可愛らしい一面も披露し、『ゆるキャン△』ロスの視聴者たちの間で、さらに犬山=箭内好きが増えた。また、同年に出川ガールに就任、“夢っぺ”の相性で親しまれ、世間の愛されキャラに。そして2021年4月号で『Seventeen』専属モデルを卒業したことで、役者としての世界が広がったことが、演技や見た目の変化などの一番の要因だと考える。

 犬山役で培った、若くしてお姉さんキャラをクールに活かした進化系が、『ソロ活女子のススメ2』(テレビ東京)第2話のサバゲー女子役。サバゲーで逃げてばかりいる恵(江口のりこ)に「逃げてばかりで面白い?」と問いかけ、「サバゲーってチーム戦じゃん。脇役なんていないんだよ、みんなが主役」と諭すカッコよさ。まず迷彩服が似合う見た目のカッコよさもそうだが、そのセリフに説得力を持たせる彼女の存在感に驚かされ、女優としての凄みすら感じた。

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