コミカルな役から謎めいた役まで 2022年上半期の出演作から読み解く俳優・岩田剛典の魅力

 打って変わって次に岩田が出演したのは、櫛木理宇による原作小説を元に、白石和彌が監督を務めた『死刑にいたる病』。ある大学生のもとに、24人を殺し、死刑判決を受けた受刑者から手紙が届くところから始まるサイコミステリー。岩田は、その大学生が行く先々で出会う、金山一輝役を演じている。金山は、長髪で顔の半分が隠れている謎の男。本作の記者会見で、岩田自身「これほどまでに挑発的な役は初挑戦」と語っている。もっとも、岩田は、これまでにもドラマ『砂の塔~知りすぎた隣人』(TBS系)、『炎上弁護人』(NHK総合)、映画『去年の冬、きみと別れ』、『AI崩壊』など、どこか不穏な空気を漂わせる謎めいた役を演じてきた。こうした役に、またひとつ新たな顔が加わったのではないだろうか。

『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』(c)2022映画「バスカヴィル家の犬」製作委員会

 6月からは、テレビシリーズからの映画化『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』が公開となる。2019年のテレビシリーズで岩田が演じた若宮潤一は、病院に勤務する精神科医であったが、フリーランスの犯罪捜査専門のコンサルタントの誉獅子雄(ディーン・フジオカ)と、とある事件をきっかけに出会ったことで、運命が変わり始める。テレビシリーズで、獅子雄と岩田演じる“若宮ちゃん”は名バディとなった。ときにすっとぼけた味わいで見せるやり取りも楽しみな2人であったが、映画版では果たしてどんなコンビネーションを見せてくれるのだろうか。『シャーロック・ホームズ』のシリーズ史上最高傑作と呼び声の高い傑作長編『バスカヴィル家の犬』を、瀬戸内海のある島を舞台に描く本作での岩田の演技も楽しみだ。

■公開情報
『死刑にいたる病』
5月6日(金)全国公開
出演:阿部サダヲ、岡田健史、岩田剛典、宮崎優、鈴木卓爾、佐藤玲、赤ペン瀧川、大下ヒロト、吉澤健、音尾琢真、中山美穂
監督:白石和彌
脚本:高田亮
原作:櫛木理宇『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫刊)
配給:クロックワークス
(c)2022映画「死刑にいたる病」製作委員会
公式サイト:siy-movie.com
公式Twitter:@SIYmovie

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