『元彼の遺言状』“バディ”解消と思いきや“チーム”誕生回に 大泉洋の正体は次回へ

 ただ後妻トラブルの流れで触れられる、「追いかけただけでも暴行罪になる可能性がある」というのは興味深い指摘だ。たしかに暴行罪の構成要件は「不法な有形力の行使」であり、加害意思をもって他者に向けて有形力を行使すれば、物理的に接触していなくても成立しうる。近年社会問題となっているあおり運転もその一例であろう。

 とはいえ、くだんの話の流れでは後妻が勝手に家に入り込んで、通帳を物色していたのを追いかけたというもので、追いかける側も丸腰であれば社会通念上妥当で不法とは言い切れないだろう。おおよそ麗子が面倒を回避するため、警察に従うよう仕向ける策といったところだろうか。

 津々井の痴漢疑惑をめぐる描写の軽薄さは気に掛かるところだが、それ以上にドラマ全体の流れとして、終盤に麗子が篠田のことを「雑用係ではなく助手です」と言い切るにいたる心の動きが少々掴みづらくもある。次々と案件が降り掛かりてんてこ舞いとなり、篠田の手を大いに必要とするような展開があるわけでもなく、特別な活躍があったとも言い難い。いずれにせよそれは、篠田が麗子に自身の過去を話す、ぬか床から複数の偽造身分証を取り出すという流れを引き出すきっかけを与えるためのものというわけだ。

■放送情報
『元彼の遺言状』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:綾瀬はるか、大泉洋、生田斗真、関水渚ほか
原作:『元彼の遺言状』新川帆立(宝島社)
脚本:杉原憲明
演出:鈴木雅之、澤田鎌作
プロデュース:金城綾香、宮崎暖(「崎」はたつさきが正式表記)
音楽:川井憲次
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/motokare/
公式Twitter:@motokare_cx_
公式Instagram:@ motokare_cx

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