『ドクター・ストレンジMoM』8億ドル突破の快進撃 『ダウントン・アビー』続編も好調

『ドクター・ストレンジ』3週連続で北米首位

 マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)とドクター・ストレンジの進撃が続く。5月20日~22日の北米興行収入ランキングは、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が3週連続で首位を獲得。3日間の興行収入は3160万ドルで、下落率は前週比−48.8%となった。

 本作は批評家・観客からの賛否両論もあり、当初期待されたほどの成績に結びつかないのではないかという予測もあったが、すでに全世界興行収入は8億318万ドルを記録している。北米累計興収は3億4208万ドル、海外累計興収は4億6110万ドルで、特に優れた成績を示しているのは韓国(4590万ドル)、イギリス(4380万ドル)、メキシコ(3570万ドル)。世界規模で現在のペースを維持した場合、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)に続いて10億ドルの大台を突破する可能性もある。

 第2位に初登場したのは、イギリスの人気ドラマ『ダウントン・アビー』(2010年~2015年)の映画版第2弾『Downton Abbey: A New Era(原題)』。3815館で公開されるや3日間で1602万ドルを稼ぎ出し、北米配給を担当するFocus Featuresとしてはコロナ禍で最高のオープニング記録となった。

 本作は世界興収1億9219万ドルという大ヒット作『ダウントン・アビー』(2019年)の続編にあたり、ドラマシリーズの主要キャストや監督のサイモン・カーティス、脚本家のジュリアン・フェローズらが揃って復帰。前作の3100万ドルという初動には及ばなかったが、コロナ禍のため、依然として大人向け映画の興行が厳しい――スティーヴン・スピルバーグの『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021年)やリドリー・スコットの『ハウス・オブ・グッチ』(2021年)さえ苦戦を強いられた――状況であることを忘れてはならないだろう。

 むしろその点で言えば、本作の成績は“大人たち”が映画館に戻ってくる可能性を予感させるものだ。報道によると、観客の48%が55歳以上で、約73%が女性。Focus Featuresの国内配給を統括するリサ・バンネル氏は、シリーズのファンが劇場を訪れていることを強調し、これをきっかけにさらなる観客が映画を観てくれること、また他の作品にも大人の観客が足を運んでくれることに期待を寄せている。

 『Downton Abbey: A New Era』は4月下旬からイギリス、フランスなど海外市場での公開が始まっており、すでに海外興収は3568万ドルを記録、世界興収は5170万ドルとなった。ただし本作はコロナ禍の撮影のため、製作費に前作の2倍にあたる4000万ドルが投じられている。黒字化に至るまでには、まだ少々の道のりがありそうだ。なお、本作の日本公開は現時点でアナウンスされていない。

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