『マイファミリー』二宮和也が犯人と対面! 予定調和ではないキャラクター造形が魅力に

 興味深いのは、誘拐事件を私的に解決する温人たちを監視するため、警察の方も違法かどうかの線引きがあいまいになっていることだ。「困っていることがあれば警察に協力を求めるべきです。誘拐はゲームではありませんよ」と温人に言い放った葛城は、誘拐事件の担当を外された後も、温人や東堂の行動を監視し、後任の日下部(迫田孝也)に協力を持ちかける。温人が誘拐事件に関わっている証拠をつかむためだ。上にばれたら問題になりかねない違法ギリギリの捜査を続けるのは、偏執狂的な事件解決への執念がある。5年前の心春(野澤しおり)ちゃん誘拐事件のことが念頭にあるのは間違いないが、一概に東堂のためとも言いきれない。警察のメンツだけでもなく、筆者にはこの人の頭の中が読めない。ただ一つ言えるのは、事件を解決するためにはなんだってやり、犯人や温人とは違う意味で一線を超えているのが葛城という人間であることだ。

 これほど考察しがいがあり、一方で考察なしでただ展開に身を委ねることで物語を堪能できるドラマは希少だ。それをもたらしているのが、単純な正義や予定調和ではない矛盾を抱えながらも魅力的なキャラクター造形にあることに異論はないだろう。

■放送情報
日曜劇場『マイファミリー』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、大友康平、神野三鈴、迫田孝也、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、山田キヌヲ、 渡辺邦斗、藤間爽子、大島美優、松本幸四郎、富澤たけし(サンドウィッチマン)、濱田岳、玉木宏
脚本:黒岩勉
演出:平野俊一
プロデューサー:飯田和孝、渡辺良介(大映テレビ)
スーパーバイジングプロデューサー:那須田淳
協力プロデューサー:大形美佑葵
音楽:大間々昂
主題歌:Uru「それを愛と呼ぶなら」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作著作:TBS
(c)TBS

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