広瀬「とにかく桃李さんやばい」

――本作では、広瀬さんには横浜流星さん、松坂さんには多部未華子さんという、それぞれ別のパートナーとなるキャラクターを演じる俳優がいます。

広瀬：流星くんは、集中力がすごくて、一言も声をかけられないようなオーラがありました。私が演じる更紗と流星くんが演じる亮の距離が開いていくシーンの撮影が始まったぐらいから、李監督もタイミングを見計らって流星くんに話しかけていたぐらいでした。流星くんとは初共演だったんですが、いろいろなコミュニケーションの時間を2人で一緒に過ごして、テレビで観るのとは全然知らない顔をたくさん見させてもらいました。ストーリー上、自分がこの顔にさせたのかなという罪悪感が生まれていくんですが……（笑）。でも、流星くんがいなかったら、自分の役とお芝居はどうなっていたんだろうと本当に思いますね。みんなも言っていましたが、本当に凄い方なんだと改めて思える共演でした。

松坂：確かに、流星くんが出演している他の作品と全然違う顔だったもんね。

――松坂さんは、多部さんとはこれまでも何回か共演しています。

松坂：今回で3回目ですね。多部さんが演じる谷さんは、作品のワンポイントみたいな感じで出てくるキャラクターなので、余計に演じるのが難しかっただろうと思います。でも、全くそういう不安を感じさせない力強さで、文の新たな一面を多部さんに引き出してもらいました。多部さんがいなかったら、今の文はないだろうと思います。

――松坂さんと広瀬さんは『いのちの停車場』以来の共演になりますが、本作の撮影を通して改めて気づいたお互いの魅力はありますか？

松坂：『いのちの停車場』のときとは違う魅力を、この現場でかなり見ました。もともと、『いのちの停車場』の撮影終盤ぐらいのときから、まだ何か隠し持っているだろうと思ってはいたんですよ（笑）。それが、今回現場でご一緒したときに、なるほどね……と（笑）。

広瀬：なんですか、それ（笑）。でも、私もそれは同じことを思っていて。『いのちの停車場』から今回の現場でどういうふうに変わっていくのか楽しみにしていたんですが、実際に共演して、完成された作品を観て、恐ろしい人だなと。「とにかく桃李さんやばい」の一言しか出ないぐらいでした。李監督と並んで作品を観ていたんですが、もう、桃李さんがすごいとしか言えないと思って、試写後に逃げるように帰りました（笑）。李さんに、「何か気になったんだけど」とメールが来て、やっぱりバレていたかと（笑）。

松坂：それ、李さんが言ってたな（笑）。「あいつ、逃げるように帰っていった」って（笑）。

広瀬：（横浜）流星くんが出て行くときに、自分も流星くんに便乗して出て行きました（笑）。でもそれぐらい、『いのちの停車場』と本作での松坂さんが雰囲気から肌感覚まで全然違う人物だったので、「脳みその中、どうなってるんだろう」と思いました（笑）。

松坂：いや、でもそれは同じことをあなたにも思ったよ（笑）。とにかく濃密な時間だったし、それが反映された映画になっていると思います。

■公開情報
『流浪の月』
全国公開中
出演：広瀬すず、松坂桃李、横浜流星、多部未華子、趣里、三浦貴大、白鳥玉季、増田光桜、内田也哉子、柄本明
監督・脚本：李相日
原作：凪良ゆう『流浪の月』（東京創元社刊）
撮影監督：ホン・ギョンピョ
製作総指揮：宇野康秀
製作幹事：UNO-FILMS（製作第一弾）
共同製作：ギャガ、UNITED PRODUCTIONS
配給：ギャガ
(c)2022「流浪の月」製作委員会

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