『ドクター・ストレンジMoM』北米&世界で記録的ヒット 2022年公開作でNo.1に輝く

 マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)が北米興行にふたたび旋風を巻き起こした。5月6日に北米公開を迎えた『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は、3日間で1億8,500万ドルを稼ぎ出し、8日までの週末ランキングで問答無用のNo.1を獲得した。

 今回の数字は、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)の2億6,000万ドルに続いてコロナ禍史上第2位の成績。2022年公開作品としては『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の1億3,400万ドルを抜いて第1位となった。北米初動興収としても歴代第11位を記録しており、圧倒的な成績を見せつけた結果だ。

 本作は日本を含む海外市場では5月4日に先行公開されており、海外興収は2億6,500万ドルを記録。全世界興行収入は4億5,000万ドルであり、やはり『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の6億ドルに次いでコロナ禍史上第2位(MPA作品として)となった。しかも報道によると、北米・海外ともに成績が上方修正されることもありえるとのこと。実際にはこれ以上の成果をあげた可能性も高いというわけだ。

 4月25日には『バッドガイズ』や『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』の大ヒットを受け、北米映画市場の「コロナ禍からの復活」が宣言されたばかり。『スパイダーマン』という一大イベントムービーに続き、本作も記録的ヒットとなったことは、現在のハリウッドにおける“MCUパワー”の威力とともに、業界の勢いが回復しつつあることも示しているだろう。ドクター・ストレンジの単独映画は『ドクター・ストレンジ』(2016年)以来およそ6年ぶりとなるが、本作の米国初日興収は、前作の初動3日間の成績を上回るものだったのだ。

 もっともディズニー/マーベル・スタジオが、近年一貫してドクター・ストレンジの重要性をアピールしてきたことも事実。前作ののち、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年)、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)に連続登場し、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でもきわめて重要なポジションを担った。ちなみに『スパイダーマン』と本作の公開順はもともと逆の予定だったが、コロナ禍ゆえに入れ替えられたという経緯もある。『スパイダーマン』の大ヒットはドクター・ストレンジにとって強力な追い風となったはずだ。

 なおマーベルは、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の監督に『死霊のはらわた』やトビー・マグワイア版『スパイダーマン』3部作のサム・ライミを起用。MCU初の本格的ホラーテイストとなった(レーティングはPG-13指定)。しかし観客層の12%は親子連れであり、出口調査によると12歳以下のキッズ層は本作に5つ星、彼らを劇場に連れてきた親は4.5つ星を付けたとのこと。観客の評価はおしなべて高く、作品のホラーテイストが受け入れられたことは明らかだ。

 北米以外では、韓国が2,910万ドルを記録して海外市場No.1を記録(5月4日からの5日間)。現地週末興行の87%を占める勢いを見せ、コロナ禍以前、2年前に匹敵するスマッシュヒットとなった。そのほか優れた成績を示したのは、イギリスの2,470万ドル、メキシコの2,150万ドル、ブラジルの1,630万ドル、インドの1,260万ドルなど。日本は940万ドルで海外市場の第9位となった(本作は中国・ロシアの2大市場では公開されない予定)。

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