『ちむどんどん』の“ポパイ”も連想させるカートゥーン的演出 週タイトルの鮮やかな回収も

『ちむどんどん』鮮やかな週タイトル回収

 『ちむどんどん』(NHK総合)第19話では、さまざまなハプニングが発生した。ついに始まった、暢子(黒島結菜)の参加する料理大会。彼女が自信を持って料理部のみんなと研究し、完成させたやんばるそばで勝負を仕掛けようとした。鍋に火をつけるのを忘れて出汁を作るのが遅れるハプニングがありつつも、無事に屋台は開店し、彼女たちのそばは大好評ですぐに行列ができるほどに。しかし、ライバル校の南高が彼女たちの屋台の場所が自分たちのものだと言いがかりをつけてくる。

 トラブルに見舞われたのは料理部だけではない。比嘉家の面々は兄・賢秀(竜星涼)が謎の実業家・我那覇(田久保宗稔)から誘われた“儲け話”にまんまとのっただけではなく、母・優子(仲間由紀恵)を巻き込んでいたことを知るのであった。彼は優子だけではなく親戚からもお金を借りて、960ドルをかき集めたのだ。兄の話を信じ、手を貸したことに良子(川口春奈)は信じられない様子。彼女はそれ以外にも、思いを寄せていた石川(山田裕貴)の結婚話に動揺していたのに……。明らかに詐欺に遭っている賢秀は、ますます家族のために何かをしようとして逆に状況を悪化させるような人物だと感じさせるが、暢子の屋台が移動したことを受けて自ら口コミをして人を呼び込む。そういった彼の底なしの明るさ、軽快さと妹思いの兄貴の顔がしっかり映されるので、憎むに憎めないキャラクターになっているのだ。

 賢秀のおかげで再び暢子たちのやんばるそばは人気に。ところが、安心も束の間、今度は鍋を倒して汁を全て失ってしまうという痛恨のミスが起きてしまう。まさに踏んだり蹴ったりで、カートゥーンのような展開だ。

 しかも、そこに歌子(上白石萌歌)が暢子の起死回生アイテム……シークワーサーを取り出すので、ますますそのように感じる。これまでも、いざという時にシークワーサーをかじって元気になってきた暢子。その様子はまるで、ほうれん草を食べて筋肉モリモリになるポパイだ。そして、彼女はそば麺を使ってナポリタンを代わりに作るというアイデアを思いつく。週タイトル「青春のナポリタン」がここに出てくるとは!

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