町田啓太の大ブレイクまでの軌跡 『美女と男子』『盗まれた顔』など今こそ観たい5作品
『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』が国内外で公開され、NHKでは語りとプレゼンを務める『漫画家イエナガの複雑社会を超定義』がレギュラー放送中。またフジテレビの7月期水10ドラマ『テッパチ!』主演のほか、映画『太陽とボレロ』も公開になるなど、大活躍の町田啓太。彼のこれまでの出演作の中から、今こそ観たい5作品を振り返っていく。
『美女と男子』(2015年)※NHKオンデマンドで配信中
『美女と男子』(NHK総合)では、ヒロインの一子(仲間由紀恵)とともにブレイクを目指し奮闘する新人俳優の向坂遼を演じた。今観ると、常に少し険しい顔をしていて不愛想な町田啓太が新鮮に映るが、遼が俳優として少しずつ成長すると共に、さまざまな表情を見せるように変化していく。特に、マネージャーの一子の家族の中にいるときには、表情が柔和で豊かになる。
また、同じ事務所に所属するライバル俳優の鷲見右京(中山麻聖)との間で、演技について悩むシーンはみどころのひとつ。心はこもっていないが迫真の演技ができる自分は本当に演技ができているのか悩む遼と、感情ののった演技ができても、それは演技ではなく自分の感情であるにすぎないという右京の、それぞれの悩みを抱えるシーンが印象に残った。
当初は俳優という仕事に関心がなかった遼が、徐々に成長するのを追う物語であると同時に、マネージャーの一子も成長していくストーリーになっている。
『スミカスミレ 45歳若返った女』(2016年)※Netfixなどで配信中
『スミカスミレ 45歳若返った女』(テレビ朝日系)は、高梨みつばによる『スミカスレ』が原作のドラマ。厳格な家で育ったために、大学進学も恋も青春を楽しむことも断たれ、人生をやり直したいと望む65歳の如月澄(松坂慶子)が、あることをきっかけに二十歳の学生・スミレ(桐谷美玲)に戻って繰り広げられる物語が描かれる。
町田は、二十歳に戻ったスミレが恋する同級生の真白勇征を演じた。真白の落ち着いたトーンが、中身は65歳のスミレと波長があうのがよくわかる。しかも、スミレのおせっかいで昔風な性質を単に「面白い子」として見ているのではなく、自分自身もスミレと同じように人のためにありたいと考えているキャラクターが魅力的だ。
物語の後半、真白は心臓の病で入院することになるが、そのことが物語を急展開させていく……。同級生役として竹内涼真や秋元才加なども出演している。
『定年女子』(2017年)※NHKオンデマンドで配信中
『定年女子』はNHK BSプレミアムで放送されたドラマで、脚本は『美女と男子』と同じ田渕久美子が担当している。
商社で部長まで務めたものの、突然役職定年を言い渡され、アドバイザー職を命じられたヒロインの深山麻子(南果歩)。新たな部署ではお荷物扱いされるも、その部署の若手社員の溝口洋介だけは彼女の味方であった。その溝口を演じているのが町田だ。
溝口は、麻子がこれまでのキャリアを軽視されて、一番情けなくて泣きたくなるような瞬間もそっと寄り添ってくれているような存在。その気持ちはいつしか……。
ヒロインには気が置けない同年代の男友達の存在もあり、溝口との関係性にも明確な答えは出なかったが、その答えの出ないところが良くも思えた。