シリーズ最速で50億円突破の『コナン』 対する『ドクター・ストレンジ』も絶賛一色!?

『ドクター・ストレンジ』絶賛一色に!?

国内映画興行ランキング

 ゴールデンウィークに突入した先週末の動員ランキングは、『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』が土日2日間で動員58万人、興収7億3500万円をあげて3週連続で1位を獲得し、シリーズ最速で興収50億円を突破した。5月1日(日)までの公開から17日間の累計動員は373万2000人、興収は52億3082万4750円。5月4日(水・祝)にはMCU映画の新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が公開されて、さすがにその初日にはデイリー1位を奪われたものの、かなりハイレベルな争いが展開されていて今週末のトップ争いでは『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』が優位に立つ見込みだ。

 先週末2位の『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』、3位の『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』ともに勢いは落ちていて、予想した通り、今年のゴールデンウィーク興行は『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』と『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の完全な2強状態となっている。

 先週末の動員ランキングのトップ10に初登場したのは、4位の『劇場版ラジエーションハウス』と5位の『ホリック xxxHOLiC』と10位の『SEVENTEEN POWER OF LOVE : THE MOVIE』。ファン向けのドキュメンタリー作品である『SEVENTEEN POWER OF LOVE : THE MOVIE』はさておき、それぞれ東宝と松竹(アスミックエースとの共同配給)のゴールデンウィーク興行を担った『劇場版ラジエーションハウス』と『ホリック xxxHOLiC』の邦画実写作品2作は期待外れの結果となった。シリーズものかイベントムービーしか劇場では集客できないというのが特にコロナ禍以降の映画興行の傾向だが、一応両作ともこれまでテレビドラマやアニメなどで展開してきた作品。そう考えると、両作ともに興行的には「作品のイベント化に失敗した」という評価になる。

 もっとも「シリーズものかイベントムービーしか劇場では集客できない」というのは、日本だけではなくもはや万国共通で映画興行が抱えている問題。また、ソーシャルメディアでは絶賛の方が拡散されやすく、批判的なリアクションは炎上リスクがともなうこともあり、公開直後には作品評価が上振れするというのも、ここ数年万国共通で見られる傾向だ。その点で興味深いのは、今回は北米よりも2日早く日本で公開された『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』がソーシャルメディアではほぼ絶賛一色となっていること。5月5日時点での同作の海外主要サイトにおける平均評価は62点(※)と、MCU作品の中ではいささか低めの数字が出ている。これから劇場でご覧になる方は、ネットでの前評判に惑わされずに、あまり期待値を上げすぎないほうがいいかもしれない。

参考

※ https://www.metacritic.com/movie/doctor-strange-in-the-multiverse-of-madness

■公開情報
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』
全国公開中
監督:サム・ライミ
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、エリザベス・オルセン、ベネディクト・ウォン/レイチェル・マクアダムス、キウェテル・イジョフォー、ソーチー・ゴメス
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)Marvel Studios 2022

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