『ジュマンジ/ネクスト・レベル』は前作からの“強くてニューゲーム” 俳優陣の名演が光る
『ジュマンジ/ネクスト・レベル』(2019年)は、1995年から続く人気シリーズの3作目となる作品だ。「ボードゲームで遊んでいるうちに、ゲームと現実の区別が失われていく」という1作目の設定は、2作目から題材をビデオゲームに変えつつ残っている。子ども心をくすぐるこのアイデアには、何年経っても失われることのない新鮮さがあるのだ。
現実と虚構を行き来する物語はいくつがあるが、『ネバーエンディング・ストーリー』(1984年)の文学性や、『ラスト・アクション・ヒーロー』(1993年)のやんちゃさとはひと味違った「遊びの感覚」が味わえるのが『ジュマンジ』シリーズの魅力ではないだろうか。95年の1作目は実に魅力的な作品であり、30年近く前の映画とは思えないほどいきいきと迫力のある動物の大群や、子役時代のキルスティン・ダンストが披露する印象的な演技など、いま見返しても発見が多い。
『ジュマンジ/ネクスト・レベル』は、2作目『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(2017年)の設定やキャストを引き継いだ物語である。テレビゲームの世界に入り込んでしまった登場人物たちが、ゲーム内のミッションをクリアして元の世界に戻れるかどうかを描く。ジャングルで次々に襲いかかってくる動物や自然の恐怖。ゲーム内に入り込んだ登場人物の腕には3本の線が描かれてある。これは残りのライフ(残機数)であり、ゲーム内で3回ミスをして死んでしまうと、永遠にゲームから脱出できなくなってしまうのだ。
物語は、現実場面とゲーム場面のふたつで構成されているが、ドウェイン・ジョンソンを中心に、ジャック・ブラック、ケヴィン・ハートといったコメディ俳優を配し、ゲーム内に入り込んでしまった人物をユーモラスに演じるゲーム場面が大きな見どころとなる。高校生の女の子がゲームに入り込むと、むさくるしい中年男性に変身してしまった(外見は中年男性、内面はティーンエイジャーの女の子)というユーモラスな展開を、役者陣の巧みな演技力で表現していく点も楽しい。こうして、役者の内面にさまざまな別人格を宿らせる設定は、『ジュマンジ/ネクスト・レベル』でも十分に楽しめる。
また個人的には、『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』でゲームに入り込む子どもたちが出会うきっかけが「学校の居残り」だというのも、どこか『ブレックファスト・クラブ』(1985年)を連想させる要素だ。ゲームの世界に入り込むまでを描く導入部分も、アメリカらしい青春映画の雰囲気を感じさせてくれる。映画ファンならすぐにぴんと来るオマージュではないだろうか。シリーズ未見の方は、事前に2作目だけでも予習しておけば、冒頭に登場する人物たちがなぜ友人なのか、どういったきっかけで仲良くなったのかといった物語の流れが楽しめるだろう。