お経には“最先端科学”が記されている? 三木大雲×関取花が語り合う、現代人の生き方

関取花は“悟りの境地”に近づいている?

——関取さんはご自身で作った歌によって、多くのリスナーの心を癒したり、元気づけたりしています。仏教のなかで歌や芸術はどのように位置づけられているんでしょうか?

三木:芸術に関して書かれている部分はないのですが、ただ、お経そのものが芸術であり、音楽なんですよね。お経を読むときは必ず木魚で拍子をとりますが、あれはまさに歌なので。

関取:聴いてて心地いいですからね。これは私個人の考えの話になっちゃうんですけど、以前から「歌には余白があったほうがいい」と思っていて。言葉や音が多くて、息が詰まるような曲って、その瞬間のすごさはあっても、繰り返し聴こうとはあまり思えなくて。それよりもリスナーの方がいろいろ想像できたり、そのときの状況によって歌詞やメロディの聴こえ方が違ってくるほうがいいなって。

三木:なるほど。作詞と作曲はどちらが先になんですか?

関取:曲によって違うんですけど、理想は歌詞とメロディが同時に出てくることですね。歌詞から考えると、どうしても整理しちゃうし、頭でっかちな歌になりがちで。流れるように出てきた言葉とメロディには深層心理が含まれているというか、「私、こんなこと考えてたのか」と気付かされることも多いんです。たとえば「10年前の恋は、私のなかですごく大事だったんだな」とか、「子どものときに数か月だけ転校してきたあの子、特に仲が良かったわけではないのに、どうして思い出すんだろう」とか。

三木:悟りの境地に近づいているのかもしれないですね、それは。仏道もまさにそうで、頭で理解したり、研究するだけではなく、実際にやってみないとわからないことがたくさんあるんです。たとえば「仏さまは、今、生きている人たちを見守っておられる」と頭でわかっていることと、実際に自分が苦しい思いをし、「仏さまに助けられた」という経験をした後では、意味がまったく違ってくるので。年齢を重ね、経験を積まなければ理解できないこともあるし、数年後、何十年後に「お経に書かれていたのは、このことだったのか」と気付くこともある。何度か輪廻転生を繰り返さないと悟りの境地にはたどり着けないでしょうね。

関取:まだまだ先は長いですね。

三木:ただ、前世の記憶の影響もあるんですよ。関取さんはおそらく、前世でも歌を歌っていらっしゃった。“習気”(じっけ)というんですが今生で努力したこと、会得した技術も来世に持ち越せるんです。私の師匠は90歳を超えていますが、最近、英語を習いはじめまして。外国にでも行かれるのかなと思ったら、「来世のために今のうちから準備しておく」と。そうやって人は最後の最後まで努力できる。だからこそ我々は、自ら命を絶つのはもったないと訴えているんです。

関取:人によっては「でも、私は死ぬじゃん」「来世なんて確認できない」と思われるかもしれない。でも、「来世に持ち越せる」と思うことでがんばれることはたくさんあるし、そのぶん、自分の人生が豊かになりますよね。

三木:仰る通りです。すべては今生を豊かに生きることにつながっているので。

——目に見えない言葉やメロディによって人の心と行動に影響を与えたり、目の前の人に直接届ける機会があったり。仏教と音楽、かなり共通点がありますね。

関取:近いところがたくさんあると思います。ロックバンドのライブで盛り上がったり、シンガーソングライターの歌を聴いて涙を浮かべたり。日常のモヤモヤした気持ちを解放するということではまったく同じだし、みなさんもそれを求めているんじゃないかなって。

三木:そうですね。私は説法もさせてもらってますが、理想の説法はヒット曲のようなものだと思っています。何度も聞いてもらえて、そのたびにいろんな捉え方、感じ方ができるという。少しでも興味があれば、ぜひ聴いていただきたいなと思います。

■配信情報
『三木大雲の怪奇妙法伝』
1月より毎月4話配信/全24話/1話30分
見放題サービス(SVOD):U-NEXT
都度課金サービス(TVOD/EST) :ビデオマーケット、GYAO!ストア、music.jp、Amazonプライム・ビデオ、ポニーキャニオン公式(MIRAIL)、dTV、楽天TV、Google Play

出演:三木大雲
製作・著作:ポニーキャニオン
(c)PONY CANYON Inc.
公式サイト:https://kaiki-myouhouden.com

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