『バッドガイズ』『ソニック』ファミリー映画が北米興行トップ飾る 映画業界に復活の兆し

 2020年3月に新型コロナウイルスの脅威がハリウッドを襲ってから約2年。ようやく北米の映画業界には本当の意味で復活の兆しが見えてきたのかもしれない。全米劇場所有者協会のジョン・フィシアン会長は、4月24日、Deadlineの取材にて「トンネルの出口であり、光明が見えてきた」と語った。

 4月22日~24日の北米興行収入ランキングは、ドリームワークス&ユニバーサル・ピクチャーズの新作アニメーション映画『バッドガイズ』が第1位。3日間で2400万ドルを稼ぎ出した本作は、多くの海外市場で3月中旬より順次公開されており、すでに全世界興行収入8,711万ドルという好成績を記録(製作費は6,900万ドル)。Rotten Tomatoesでは批評家スコア86%、観客スコア93%と評価も上々だ。

 本作はアーロン・ブレイビーによる同名の児童書を映画化したアクション・コメディで、天才的スリ師のミスター・ウルフ率いる5人組の動物怪盗集団・バッドガイズの活躍を描く物語。洋画ファンには出演者も魅力的で、サム・ロックウェルやオークワフィナ、『イン・ザ・ハイツ』(2021年)のアンソニー・ラモス、『デッドプール2』(2019年)や『ジョーカー』(2019年)のザジー・ビーツらが声優を務めた。日本では「2022年公開予定」とのみアナウンスされている。

 『バッドガイズ』を追うのは、同じくファミリー映画の『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』。公開3週目ながら第2位の座をキープし、3日間の興行収入は1,522万ドルを記録した。北米累計興収は1億4,582万ドル、全世界興行収入は2億8,782万ドルというヒットぶりだ。

 映画館業界からの「光明が見えてきた」発言は、『バッドガイズ』『ソニック・ザ・ムービー』というファミリー映画がランキングの第1位・第2位を飾ったことに起因する。コロナ禍そのものは終わりが見えないが、フィシアン会長は、若者やファミリー層が映画館に戻ってきたことを「トンネルの出口であり、光明が見えてきた。ここが業界復活の出発点」と語ったのである。コロナ禍においても『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)は歴史的大ヒットを記録したが、ここにはまったく別の意味がある。

 辛酸をなめたのは、第3位の『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』だ。公開2週目ということもあり前週比−66.8%という大幅な下落率を示し、週末の興行成績は1,401万ドルにとどまった(北米累計興収は6,712万ドル)。日々の推移を見ても、公開4日目の4月18日に『ソニック・ザ・ムービー』に首位を明け渡すという事態になっている。

 この結果は「魔法ワールド」フランチャイズには厳しいもので、『ファンタビ』シリーズの存続さえ不安視されるところだが、『ハリー・ポッター』ブランドは海外市場では健在。特にドイツ、日本、イギリス、中国では秀でた成績を示しており、海外興収は2億ドルを突破。全世界興行収入は2億8,032万ドルを記録し、いまや「魔法ワールド」が海外向けのコンテンツになったことを示すこととなった。

 映画館業界の復活を思わせるのは、ランキングに多様な作品が並んだ点にもある。この2年間、ストリーミング・サービスに回される傾向にあった中規模作品やアート映画が劇場に戻ってきたことで、2019年以前の状況を思わせる顔ぶれになったのだ。

 第4位『The Northman(原題)』は、『ウィッチ』(2015年)や『ライトハウス』(2019年)で知られる気鋭、ロバート・エガース監督の最新作。9世紀のアイスランドを舞台に、バイキングの王子が父親殺しの復讐に臨むアクション史劇だ。

 3日間で1,200万ドルを記録した本作は、なんと製作費7,000万ドル以上という野心作。現時点での全世界興行収入は2,352万ドルのためコスト回収は難しそうだが、次代を担う才能にスタジオ側が賭けたということだろう。監督への高い期待は出演者からもうかがえるところで、主演のアレクサンダー・スカルスガルドをはじめ、ニコール・キッドマン、アニャ・テイラー=ジョイ、イーサン・ホーク、ビョーク、ウィレム・デフォーという豪華キャストが集結した。

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