『悪女(わる)』底抜けに明るい麻理鈴は今田美桜の新境地に? 平成版との価値観の違いも
「誰かの役に立って、お給料をもらえるなんて、働くって最高ですね!」
田中麻理鈴(今田美桜)の素直さが、心のなかにあった邪気を払ってくれるような気がする。4月13日にスタートした『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ系/以下『悪女(わる)』)は、水曜日の夜にエナジーを注入してくれる作品になりそうだ。
主演を務める今田美桜は、意外にも本作がドラマ初主演となる。2018年放送のドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系)でブレイクしてから4年。最近の今田は、得意分野の小悪魔キャラだけでなく、“THE いい子”な役柄にも挑戦してきた。とくに、『恋はDeepに』(日本テレビ系)で演じた天真爛漫な藍花は、かなりのハマり役だったように感じる。これまで、ヒロインのライバルポジションになりがちだった彼女が、同作では主人公・海音(石原さとみ)を守る親友のような立場に。優しさが伝わるほんわかとした笑顔が印象的だった。
そして、『悪女(わる)』だ。本作では、ポンコツな新入社員だった麻理鈴が、先輩社員・峰岸雪(江口のりこ)にかけられた「出世したくない?」の一言で、こずるく楽しく出世をしていく姿が描かれる。底抜けに明るい麻理鈴は、今田の新境地となる役柄になるのではないだろうか。ここまで抜けているキャラクターを演じる姿は、見たことがないように思う。江口との掛け合いも、今後の見どころになってきそうだ。
また本作は、30年前に石田ひかり主演で実写化されているため、当時との価値観の違いに着目するのも面白い。
まず、大きく異なる点は、麻理鈴の設定。平成版ではコネ入社とされていたが、令和版では社長の同郷枠採用になっている。印象的なキメ言葉「過労死するまで頑張ります!」も、「骨を埋めるつもりで頑張ります!」に変更。仕事後の“癒し”は、タバコからぬか漬けになっていた。そして、株式会社オウミの男尊女卑も、かなり減っているように感じた。かつては、「商社に来る女の子は、みんなコネ」と言われていたが、現代は男女の採用人数を均一にする施策をしているらしい。麻理鈴が、直接“女のくせに”などと直接言われる場面もなかった。
そう考えると、ここまで大きく価値観を変えた“30年”という時間は長い。そのなかでも、新型コロナウイルスの流行は、私たちの生活様式をガラリと変えた出来事だ。マスクをつけるのが当たり前になり、ステイホームが推奨されるように。そして、“働き方”も大きな転換期を迎えている。