『梨泰院クラス』の成功を改めて検証 日本リメイク版はパク・セロイ役が鍵に?
先日、大人気韓国ドラマ『梨泰院クラス』が日本でリメイクされて放送されると正式発表があった。(※)『梨泰院クラス』といえば、遡ること2020年。コロナ禍で“おうち時間”が増え、映像配信の需要が高まった当初、『愛の不時着』と一緒に大流行した韓国ドラマだ。日本のバラエティなどでも主人公のパク・セロイ(パク・ソジュン)のモノマネをする芸人が出てきたり、友人との会話でも「梨泰院クラス観た?」などと話題によく上がっていたのが印象的だった。
『梨泰院クラス』とは、単純に言ってしまえば主人公のパク・セロイが、異国文化が漂いネオンが輝く梨泰院の街で飲食店を開く物語である。しかし、セロイが飲食店を構えるという決意をするまでの過程や生い立ちには、想像を絶するほどの苦しみがあった。それは主にセロイと大手飲食チェーン・長家との確執だ。セロイと長家の御曹司が殴り合いの喧嘩をし、セロイは高校を退学。父も勤めていた長家を退職し、自身の飲食店を持とうと決意した矢先、長家が関わる交通事故で亡くなってしまう。
韓国ドラマでよくあるのは、財閥や大企業が主人公の行く手を阻むようなシーン。このドラマも例外ではないが、それに立ち向かうために、静かに着々と力を蓄えるセロイの執念深さには驚かされた。いくら国を支えているような大きな企業であっても、力ずくで人を動かし従わせようとするのは間違っていると、セロイの権力に屈しない姿に心を動かされた人も多かったのではないだろうか。何よりスカッとする展開に、我々は引き込まれたのだろう。
世界を魅了するパク・ソジュンと実力派俳優たち
そして、『梨泰院クラス』が人気の大きな起爆剤となったのはパク・セロイ役のパク・ソジュンだといっても過言ではない。『彼女はキレイだった』『キム秘書はいったい、なぜ?』『花郎<ファラン>』などに出演しており、韓国内の数々の賞を受賞するほどの大人気俳優。日本でも2015年に初めてファンミーティングが行われたほどである。すらっとした身なりに優しい笑顔、かつコメディらしさも感じる演技に魅力を感じない人はいないだろう。最近では、新しいマーベル作品『ザ・マーベルズ(原題)』にも出演が決まったと報告しており、今や世界中から最も注目を集めている俳優の一人だ。
パク・ソジュンだけでなく『梨泰院クラス』に出演した俳優たちの勢いも凄まじい。ヒロインのチョ・イソを演じたキム・ダミは、チェ・ウシクと共に『その年、私たちは』に出演し、配信当初はNetflixのTOP10入りを果たすほど、日本でも人気ドラマとなった。またセロイの店タンバムで働くトランスジェンダーのマ・ヒョニを演じたイ・ジュヨンが、男性ばかりが野球選手になる世の中で、女性としてプロ野球選手を目指す高校生を演じた『野球少女』は2021年に日本公開されている。
韓国ドラマとしては、実力派揃いだったキャストたちが本作の話題性を高めていた。日本版でのパク・セロイをはじめとするメインキャラクターを演じる俳優たちが、作品への期待値を膨らませる要素の一つとして、注目が高まる。