落合信彦、増田ユリヤらが絶賛 『親愛なる同志たちへ』著名人コメント到着
4月8日に公開される映画『親愛なる同志たちへ』に各界の著名人が絶賛コメントを寄せた。
本作は、第93回アカデミー賞国際長編映画賞ロシア代表に選定されたアンドレイ・コンチャロフスキー監督作の最新作。スターリン後の社会に希望を見出し、その世界に疑いを持たなかった一人の女性が知る、残酷な事実を描き出す。
1962年6月1日、ソ連南部ノボチェルカッスクの機関車工場でストライキが勃発した。「雪どけ」とも称されたフルシチョフが目指した豊かな共産主義統治にも陰りが見え始め、困窮にあえぐ労働者たちが物価の高騰や給与カットに抗議の意思を示したのだ。社会主義国家で大規模なストライキが起こったことに危機感を覚えた政権は、スト鎮静化と情報遮断のために最高幹部を現地に派遣、翌日には約5000人の市民への銃撃を開始した。熱心な共産党員で市政委員も務めるリューダは、18歳の愛娘スヴェッカの身を案じ、凄まじい群衆パニックが巻き起こった広場を駆けずり回る。三つ編みに青いリボンのスヴェッカはどこにいるのか。既に銃撃の犠牲者となって“処分”されてしまったのか。長らく忠誠を誓ってきた共産党への疑念に揺れるリューダが、必死の捜索の果てにたどり着いた真実とは。
コメントを寄せたのは、作家・国際政治ジャーナリストの落合信彦、ジャーナリストの増田ユリヤら6名。“今”観るべき作品と絶賛している。
コメント
落合信彦(作家・国際政治ジャーナリスト)
素晴らしい映画だ! まさに階級社会である共産国そのものを描いている。
コンチャロフスキー監督が命懸けで不条理なロシアへの別れを告げる、その覚悟が見えた。
増田ユリヤ(ジャーナリスト)
冷戦下のソビエトで起きた事件が、現在のロシアを彷彿とさせ、戦慄が走った。政権に不都合な市民に銃口を向け、犠牲者の存在をかき消す。国家とは、生きる希望とは何か。
小熊英二(歴史社会学者)
『戦争は女の顔をしていない』で描かれた独ソ戦の女性兵士たちと、現代のウクライナ情勢の間を架橋する一遍。1962年を再現した禁欲的な白黒画面が、日本にとって「近くて遠い国」に生きる人々のリアリティと、1937年生まれの監督の執念を伝える。
津久田重吾(軍事史研究家)
スターリンの恐怖政治が終わり、人々は新しい生き方を見いだせないまま次の混乱に直面する。選ばれた手段は過去の繰り返し。その延長線上で現在の私たちが立ちすくむ。
ジェーニャ(声優)
どんな時代でも、人間はよくなることを信じる。生きるために何かを信じないといけない。
そんな人間の心の強さを描いた映画です。この時代だからこそ観ていただきたい。
大澤真幸(社会学者)
ロシアがプーチンの一存でウクライナに侵攻できるのは、この国が全体主義の体制だからだ。
では全体主義は、その内側の国民にどう体験されるのか。この映画が教えてくれる。
■公開情報
『親愛なる同志たちへ』
4月8日(金)全国公開
監督・脚本:アンドレイ・コンチャロフスキー
出演:ユリア・ビソツカヤ、ウラジスラフ・コマロフ、アンドレイ・グセフ
配給:アルバトロス・フィルム
2020年/ロシア/ロシア語/121分/モノクロ/スタンダード/5.1ch
(c)Produced by Production Center of Andrei Konchalovsky and Andrei Konchalovsky Foundation for support of cinema, scenic and visual arts commissioned by VGTRK, 2020
公式サイト:shinai-doshi.com