『進撃の巨人』男の生き様を見せたマガトとシャーディスの最期 思いを背負い教え子は走る

 まばゆい光に包まれ、激しい咆哮とともにファルコが巨人化。イェーガー派の陣営が崩れ始めると、ジャンのひと声によって一斉に攻撃の手を強めるミカサたち。追い詰められたフロックは船に狙いを定め雷槍で破壊しようとするが、銃撃を受けて的が外れ、血で赤く染まった海へと落下。「エルディアを救うのは!! 俺だ!!」と最期まで執念を見せたフロック。彼は作中では過激な排外主義に取り憑かれた哀れな人物として描かれてきたが、彼のエルディアへの忠誠心は時には畏敬すら感じるものだった。

 どちらの陣営も最終的にはパラディ島のことを思っての行動なはずなのに、その過程が異なれば、それは自分たちとは相容れない正義になってしまう。フロックにとっては地ならしでパラディ島を外の攻撃から守る唯一の手段だと信じている。フロックが掲げる正義を信じるパラディ島に住む多くのエルディア人の気持ちを理解できてしまうのがとても辛い。

 船を無事に出航させることができたミカサたちだが、マガトは殿を務めるといって港に残ることを決めていた。イェーガー派の残党に見つかり攻撃されるマガトだったが、彼の前にキース・シャーディスが現れる。行動を共にすることを決めたマガトとシャーディス。共に教え子をもつ2人の立場には共通点も多い。それだけに2人はどこか通じ合うものがあったのだろう。教え子に普通に生きてほしかったと良心を打ち明けるマガト、最期の最期まで教え子の成長を見守り援助したシャーディス。彼らの思いや行動を教え子たちに告げることなく最期を遂げるところが、男の生き様を表現しているようで心を打たれた。

 「名も知らぬ人々を多く救ってほしい」というマガトの思いを背負い、ハンジたちはこれからも前へと進み続けることしかできない。身命を賭してまで教え子の明るい未来を守り通した2人の男。彼らはこの戦いが終わった後に、世界を救った英雄になれているだろうか。

■放送・配信情報
TVアニメ『進撃の巨人 The Final Season Part 2』
NHK総合にて、毎週日曜24:05〜放送
キャスト:梶裕貴、石川由依、井上麻里奈、下野紘、三上枝織、谷山紀章、細谷佳正、朴ロ美、神谷浩史、子安武人、花江夏樹、佐倉綾音、沼倉愛美、増田俊樹、松風雅也
原作:諫山創(別冊少年マガジン/講談社)
監督:林祐一郎
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:岸友洋
総作画監督:新沼大祐、秋田学
演出チーフ:宍戸淳
エフェクト作画監督:酒井智史、古俣太一
色彩設計:大西慈
美術監督:根本邦明
画面設計:淡輪雄介
3DCG監督:奥納基、池田昴
撮影監督:浅川茂輝
編集:吉武将人
音響監督:三間雅文
音楽:KOHTA YAMAMOTO、澤野弘之
音響効果:山谷尚人(サウンドボックス)
音響制作:テクノサウンド
アニメーションプロデューサー:川越恒
制作:MAPPA
(c)諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会
公式サイト:https://shingeki.tv/final/
公式Twitter:@anime_shingeki

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