『カムカム』怒涛の伏線回収と新たに生まれた“おはぎ”の謎 巡り巡る彼らの物語が胸を打つ
さて、定一(世良公則)が亡くなったことをきっかけに店じまいされたと言われていた『Dippermouth Blues』が復活している聞いて、錠一郎(オダギリジョー)はるいとともに店を訪れる。そこで明らかになったのは、「安子編」で幻か現実かわからなかった定一の息子・健一(前野朋哉/世良公則)の帰還の真相である。彼は本当に生きて帰ってきて、父の店を継いでいたのだ。しかも、その孫・慎一(前野朋哉)は若い頃の自分にそっくり。そして、実は第96回放送の中で最も静かにシレッと、しかし大きな爆弾のように投下されたのが、その孫が買ってきた“おはぎ”である。
よく目を凝らしてみると、その包装紙には「たちばな」の文字が! 冒頭で算太が安子からたちばなの再建費を持ち逃げしてしまったことを悔やみ、代わりに姪のるいにそのお金を返そうとしていたことがわかった。彼はあれからずっと家族と離れ、自分のしたことに後悔し、苛まれてきたに違いない。それでも、「たちばな」は再建していたのだ。もうその事実を算太が知ることができないのも人生の酸いに思えるが、問題は“誰が”「たちばな」を復活させたかである。
岡山に店を構えているのなら、安子であるはずがない。もしそうなら、同じ街に住む勇や雪衣が彼女の消息を知らないわけがないからだ。では、他に誰が「たちばな」の味を知っているか。ふと思い出されるのは、金太(甲本雅裕)が死の直前に助けた、あの小さな命。おはぎを売りに行った少年は、今どこで何をしているのだろう。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか
写真提供=NHK