【ネタバレあり】『真犯人フラグ』“正攻法”な結末に 西島秀俊ら出演者の迫真の演技に拍手

 SNSに投稿された、事件について書かれた小説。瑞穂(芳根京子)をひとりで調べている河村(田中哲司)と、追いかけるようにして「至上の時」を出る凌介(西島秀俊)と日野(迫田孝也)。そしてたどり着いた、凌介たちが通っていた大学の旧講堂で、河村と瑞穂が対峙する。

 3月13日に放送された『真犯人フラグ 真相編』(日本テレビ系)最終話は、半年間にわたって謎に謎を重ねてきた物語のすべてが明らかになる。ここからは先はネタバレを含む記述があるため、未見の方は注意してほしい、と念のため記しておきたい。

以下、ネタバレあり

 例の小説を、阿久津(渋川清彦)から拘置所で見せられた一星(佐野勇斗)は、それが「最後の切り札」であるとつぶやく。凌介の近くにいる人物が怪しいと踏み、周囲の人物のパソコンにハッキングして見つけ出したものを瑞穂に託したのだという(それは第18話でさまざまなことを自白した一星に瑞穂が掴みかかった瞬間に行われていたことが示される)。この一連の炊飯器失踪事件を題材にしたその小説は、凌介の視点と黒幕の視点で描かれており、そこには犯人にしかわからないものが含まれている。そしてそれは、河村のPCから抜き出したものであると。

 一度は自分のものではないと否定する河村だったが、そこに“黝(あおぐろ)い”という難読漢字が使われていることから、凌介は河村が書いたものであると確信する。そして“黒幕”である河村によって、事件の一連の流れが語られていくというわけだ。詳しい内容については(あまりに煩雑になってしまうため)省くが、概ねこれまで張りめぐらされてきた伏線やミステリーの回収はしっかりと行われたように見える。それどころか、一見大筋と関係がなさそうに思えた強羅(上島竜兵)が井上(戸田昌宏)をエンバーミングしていたくだりも繋がっていたくらい周到だ。

 半年がかりで展開し、前回明かされた菱田家の押し入れなどかなり引き伸ばされた部分も多々あり、終盤には若干錯綜気味になったことは否めない。それでもこの最終回で描かれた結末に関しては意外なほどシンプルかつ正攻法なものであったといえるのではないだろうか。真帆への叶わない恋愛感情や、凌介への劣等感によって事を引き起こした河村。このドラマとほぼ同じ座組みで作られた『あなたの番です』(日本テレビ系)が急仕上げかつトリッキーな方法でまとめあげられていたことと比較すれば、終盤の各登場人物たちのその後の描かれ方も含めて充分評価に値するといえよう。

関連記事