『カムカム』五十嵐が身も心も“落ち武者”に 暗闇の中では眩しすぎたひなたの笑顔

「人を好きになるやなんて、あほやからやと思います。傷ついたり傷つけられたりしながら、人を好きになるんやから」

 『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)第89話では、五十嵐(本郷奏多)がひなた(川栄李奈)に別れを切り出す。大部屋俳優を抜け出せない五十嵐。虚無蔵(松重豊)に内心の焦りを見抜かれ、「いとしいおなごを泣かす者は真の侍にあらず」と痛いところを突かれてしまった。一人やけ酒をあおり、酔っ払った五十嵐は『破天荒将軍』の主演・星川凛太朗(徳重聡)に絡んでしまう。凛太朗は寛大な態度で許してくれたが、条映として不問に付すわけにも行かず、五十嵐は1年間『破天荒将軍』への出演が禁じられた。心配するひなたに、五十嵐は役者を辞めると告げた。

 東京に戻って父の会社で働くという五十嵐は、ひなたに「一緒に東京に帰ってほしい」と伝える。「ひなたと結婚しようと思ったら、それしかない」。目を逸らすひなた。向き直って「なんでそんなこと言うの? 言うたやんか、文ちゃんが納得できるまで待ってるって」。五十嵐の答えは「そんな日は来ない。ここにいる限り」。五十嵐が役者を辞めようと思ったのは、ひなたのためだった。

「一番大事なものは何かって考えた。ひなたなんだ。叶わない夢なんかじゃなくて」

 その言葉をひなたは「嘘言わんといて」とぴしゃりとはねつける。「私を言い訳に使わんといて、夢から逃げる言い訳に」。時代劇スターになるという五十嵐の夢はひなたの夢でもあり、「そのためやったら、私なんでもする」と全力で応援すると決め、実際に結婚資金も積み立てていた。

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