『ミステリと言う勿れ』第7話は衝撃の展開に 岡山天音の唸りに感じた子どもたちの痛み

 答えのない問いに立ち向かう整(菅田将暉)と下戸陸太(岡山天音)。癒えることのない傷は、「考える」ことで咀嚼するしかないのだろうか。『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)の第7話では、“天使”の正体が明らかに。さらに美吉喜和役で水川あさみが登場。クライマックスに向けて作品はますます深みを増していく。

 陸太は整を家に招き入れる。そこに待っていた井原香音人(早乙女太一)は自身の生い立ちや、なぜ「天使」として活動しているのかを語った。一方、警察が放火事件で生き残った子どもから聞かされたのは、虐待から助けられたと思われていた子どもたちが、親から死んだ今もなお苦しみながら生きているという悲しい現実だった。

 とうとう整は、視聴者にとって驚愕の事実を明かす。これまで香音人が存在しているかのように描かれていたシーンは陸太の妄想であり、香音人はすでに陸太に殺され、この世に存在していなかったのだ。

 衝撃の演出、事実、そして俳優陣の恐ろしいまでの怪演によりあまりにショッキングな事件が描かれる中、岡山天音が狂気の放火魔役で新たな境地を切り拓いた。岡山の演じた陸太という役は、非常に難解かつ苦しい背景を持っている。彼は小学生の頃に親からの虐待を受け、自ら親を殺してもらう決断をすることに。さらに香音人と手を組んでからも他者から見捨てられたくないという想いは拭えず、火を連想させる赤色を見ると激しい痛みに駆られ、最後には大切なはずの香音人のことさえ刺し殺してしまう。

 こうした複雑なバックグラウンドを持つ陸太は、どこか少年らしい夢想家な一面を覗かせたかと思うと、突然攻撃的な思考に陥る。岡山は鋭い瞳と、悪戯っぽい口元の笑みを交互に見せながら、陸太という人物を丁寧に作り上げた。心の苦しみを支えきれず、うずくまりながら唸る姿からは、目を背けたくなるほどの痛みがひしひしと伝わってくる。この強烈な芝居があったからこそ、第7話は視聴者の心に爪を立てるような衝撃を与えたのだろう。

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