『カムカムエヴリバディ』ひなた編は『ちびまる子ちゃん』? 川栄李奈が彩る昭和の空気

 成長したひなた役の川栄李奈が登場し、本格的に「ひなた」編へと突入した『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)。初代ヒロイン安子を演じた上白石萌音、二代目ヒロインるいを演じている深津絵里と重なる部分も残しながら、川栄は「THE・朝ドラヒロイン」というべき、天真爛漫な明るさを放っている。

 時代は1983年。戦争に直面した安子、戦争の影を背負ったるいと錠一郎(オダギリジョー)に対して、決して裕福ではないにせよ、穏やかな両親と弟、愛すべき隣人たちに囲まれ、ひなたは幸せな日々を過ごしている。愛の喪失や裏切り、突然の死などを経験した、ある種“劇的”な人生を歩んでいた2人とは対照的で、ただなんとなく過ごしていく/過ごしていける日々に本人も焦りを感じているというのが、ひなた編の導入となっている。

 それにともない物語のトーンも大きく変化。ひなたと家族の会話、幼なじみたちとの会話、ひなたの愛する映画村で出会った人々との会話は、いずれもコメディタッチで綴られており、第77話のすみれ(安達祐実)の“棒演技”など、思わず笑ってしまったという視聴者も多かったのではないだろうか。

 そんなひなた編の朗らかなムードを勢いづけたのが幼少期のひなたを演じた新津ちせだ。初登場時が1976年、そのビジュアルから、多くの人が思い出したであろう作品がある。さくらももこ原作の『ちびまる子ちゃん』だ。主人公・まる子は小学3年生、ひなたが小学4年生だったことや、舞台が静岡と京都の違いこそあれど、作品を包み込む空気感は非常に近く、視聴者の多くが(特に30代以上は)、その風景にノスタルジーを感じたのではないだろうか。実際、演出チームも共通認識として、幼少期のひなたは『ちびまる子ちゃん』のまる子をイメージしていたとのこと。確かに、「面倒臭がりな反面、自分が興味のあることなら労力を惜しまず没頭する」という性格も、まる子とひなたはそっくりだ。

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