アニメ『呪術廻戦』第2期は見せ場だらけの展開に? MAPPAによる渋谷事変の描写に期待
そこには、原作の描写とともに、TVと劇場版のアニメを制作したMAPPAの力も大きく関わってくる。2021年の夏に東京・渋谷の「東京アニメセンター in DNP PLAZA SHIBUYA」で開かれた「アニメーション 呪術廻戦展」では、シーンのひとつひとつをどのように作画し、演出したかが朴性厚監督や瀬下恵介プロデューサーによって解説されていた。
例えば、TVアニメの第1話では、虎杖と祖父との関係をしっかりと描くことで、祖父が遺した「人を助けろ」という言葉の意味が際立ち、呪術師の家系に産まれたわけでもない虎杖が戦い続ける理由を感じられるようになったとのこと。他にも、釘崎の顔に唇をわずかに突き出したり、伏黒の眉間にしわを入れたりといった作画監督の修正によって、心情を感じられるようにしたという。
人間の役者なら作ってくれる表情も、アニメでは絵にして描かなければ存在しない。4月から再放送される第1期のTVアニメや上映中の劇場版で、キャラクターの心理の流れと表情を改めて確認することで、『呪術廻戦』というアニメシリーズがどれだけの工夫の上に作られているかが分かるだろう。アクションシーンも同様に、カメラがどのように動いてバトルする面々、劇場版なら五条とミゲルの戦いを追いかけ臨場感を出しているかを考えてみる。劇場通いがもう何度目かになる人には、そんな楽しみ方もできそうだ。
そして声。目で見える表情や動きに感情を添える声優たちの演技がアニメでは重要になる。『劇場版 呪術廻戦 0』では自分に取り憑いた祈本里香の呪いが、他人を傷つけることに怯え絶望していた乙骨憂太が呪術高専という居場所を得て、同級生たちからも学んで自分にやれることをやろうと決断していく“成長”を、緒方恵美が見事に演じきった。
五条役の中村悠一が、瀕死の夏油にかける声も、乙骨たちを相手にふざけてみせるものとは違った慈しみが漂っていた。応える夏油役の櫻井孝宏にも諦観のようなものが感じられた。だからこそ、五条と夏油がどのような出会いをし、共に戦った果てに決別するまでのストーリーが描かれる「過去編」が大事になるし、TVシリーズの額に縫い目のある夏油と五条が対峙することになる「渋谷事変」が気になって仕方がない。
放送開始の2023年はまだ先のように見えて、4月から半年間第1期が放送されれば3カ月を置いて新年だ。直前のクリスマスには劇場版公開1周年という節目も迎える。何より絶望的な状況の中を奮闘する虎杖、そして乙骨の姿が描かれる原作漫画も連載が続く。『呪術廻戦』の世界はまだまだ関心を引き続け、どこまでも広がっていきそうだ。
■公開情報
『劇場版 呪術廻戦 0』
全国公開中
声の出演:緒方恵美、花澤香菜、小松未可子、内山昂輝、関智一、中村悠一、櫻井孝宏
原作:『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』芥見下々(集英社 ジャンプ コミックス刊)
制作:MAPPA
配給:東宝
(c)2021「劇場版 呪術廻戦 0」製作委員会 (c)芥見下々/集英社
公式サイト:jujutsukaisen-movie.jp
公式Twitter:@animejujutsu