『ドライブ・マイ・カー』が歴史に残る快挙 第94回アカデミー賞ノミネートを振り返る

 第94回アカデミー賞のノミネーションが2月8日早朝(アメリカ現地時間)に発表された。作品賞は例年に比べ多い10作品が選出され、濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』もこれに選ばれた。なお、日本映画が作品賞に選出されるのは、アカデミー賞史上初の快挙となる。同作は、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞を含む4部門でのノミネートとなった。

 そんな中、ベネディクト・カンバーバッチ主演の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』が最多11部門12ノミネートを果たした。次にノミネート数が多いのは、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『DUNE/デューン 砂の惑星』の10部門、そしてケネス・ブラナー監督の『ベルファスト』とスティーヴン・スピルバーグ監督の『ウエスト・サイド・ストーリー』がそれぞれ7部門と続く。これらの作品はアカデミー賞前哨戦と言われるゴールデングローブ賞でも高く評価されており、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』はそこで作品賞を、『ドライブ・マイ・カー』は非英語映画賞を受賞している。興味深いのは、本年度の賞レースで同作が日本語映画としていくつもの快挙を遂げる中で、事前からショーレース入りが手堅い印象だった『竜とそばかすの姫』が長編アニメーション賞に選出されなかったことである。

 また、注目したいのは『ハウス・オブ・グッチ』からの主要ノミネーションが一切なく、主演女優賞入りが予想されていたレディー・ガガ、助演男優賞入りが予想されていたジャレッド・レトがオスカー会員からスルーされたことだ。加えてリドリー・スコット監督の『最後の決闘裁判』が一切のノミネーションを受けていない。そして何より、本国で『アナと雪の女王』や『アラジン』を超え、ビルボードチャート1位にまでなった「秘密のブルーノ」(原題:We Don't Talk About Bruno)が『ミラベルと魔法だらけの家』の歌曲賞として提出されてなく、代わりにディズニーが「2匹のオルギータス」(原題:Dos Oruguitas)を出していたことも驚きの結果である。

 また、主演・助演賞は総じてアカデミー賞ノミネート/受賞歴のあるベテラン勢が多いなか、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』で注目されるコディ・スミット=マクフィー、そして同じく同作からジェシー・プレモンスが初ノミネートとなった。結果発表となる第94回アカデミー賞授賞式は、日本時間3月28日にアメリカ・ロサンゼルスのドルビーシアターで開催される。

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