『カムカム』に再登場した“英語とラジオ” るいのトラウマも浄化するひなたの一言も

 ひなた(新津ちせ)は映画村で運命の出会いを果たす。それは、大ファンの“モモケン”こと桃山剣之介(尾上菊之助)のサイン会の記憶を上書きしてしまうほどのキラキラした衝撃。王子様のような男の子・ビリー(幸本澄樹)への初恋だ。

 キーホルダーを落としたビリーに声をかけたひなた。前髪をふわりと上げる爽やかな風と一緒に返ってきたのは、ひなたには馴染みのない英語だった。

「Thank you so much.(ありがとう)」
「Do you know where I can take a photo with a ninja?(ニンジャと写真が撮れるのはどこか知ってる?)」

 ビリーの問いかけになにも口にすることができないひなた。諦めて去ろうとするビリーに、幼なじみの小夜子(竹野谷咲)が「Behaind that building(あの建物の向こうです)」と答え、遠くを指を指す。それはほんの数秒の出来事。だが、忘れられない運命の出会いとしてひなたは、それ以来ぼーっとしてばかりだ。

 ぼーっとしているのは、ビリーとの妄想を爆発させているから。「ひな之丞、見参!」と殺陣のシーンでその妄想癖を垣間見せていたひなたは、日本語で回転焼きを食べに誘うビリーとの初デートを思い描く。これはかつて、竹村クリーニング店の客の一人であった片桐(風間俊介)に初恋をし、妄想劇場を繰り広げていたるいとシチュエーションは全く同じ。ひなたの妄想癖はるい譲りである。

 ただ、この第67話には安子編をフラッシュバックさせるシーンが随所にインサートされている。まず、ビリーという存在。否が応でも思い浮かぶのは、安子とアメリカに旅立っていったロバート(村雨辰剛)であり、ひなたがビリーに心奪われるのは祖母の安子の血を継いでいるとも見れる。ちなみに、ビリーを演じる幸本澄樹は、日英ハーフの9歳。『カムカム』が俳優デビュー作というのだから驚きだ。彼のInstagramでは端正なルックスに、チャーミングかつ色気のある投稿も。将来有望な子役の誕生と言えるだろう。

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