『カムカムエヴリバディ』“幸せ”の形を模索するるい いつの時代も変わらぬ悩み
しかし、安子は過労が原因で事故に遭い、るいに怪我を負わせてしまったことで再び雉真の家に戻ることとなる。そこで起きた悲劇の連続は思い出すだけでも胸が痛い。愛する人と慎ましくも幸せに暮らしていければそれでいい……二人の願いは同じだったはずなのに、額の傷を治してあげたい一心で外へ働きに出た安子と、その間、広い家の中で不安に駆られながら母を待っていたるいはいつしかすれ違ってしまった。
第66話では、空前のたい焼きブームで回転焼きの売り上げがガクンと落ち、るいが頭を抱える。過去のトラウマから事業の手を広げることには消極的なるいだが、一方でひなたは空き瓶を拾って桃山剣之介(尾上菊之助)のサイン会の入場料を稼ぐ自分と、いとも容易く同等のお金を手に入れられる裕福な家庭の子との差を突きつけられて、少し苦笑いを浮かべていた。いつの時代も世間一般の人が思い浮かべる“幸せ”の形があり、誰もがそれと今の自分を比べては安心したり落ち込んだりしながら日々を生きている。親であればなおさら、世間の価値観と自分の価値観のどちらを反映させて子育てすればいいのか迷うはずだ。
そんな時、「ひなたは10歳や。僕は10歳のお父さん。るいは10歳のお母さん。一緒に大きくなってったらいいねん」と言ってくれる人がそばにいてくれること。安子が手に入れたかった幸せと普遍的な悩みを通じて、るいは母が自分を育てながら抱いていた思いを知っていくのかもしれない。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか
写真提供=NHK