堀部圭亮、松原智恵子、おいでやす小田 『カムカムエヴリバディ』京都編で賑わう人々

安子編での面影を残す、松原智恵子演じる吉兵衛の妻・清子

 安子編では、宮嶋麻衣が吉兵衛の妻・清子を演じていた。岡山空襲で夫を亡くした後、清子がどのようにして息子・吉右衛門とともに人生を歩んできたのか、劇中では語られない。だが、松原演じる清子からは、宮嶋が演じていた時同様、もの柔らかな佇まいでありながらも、夫亡き後、息子とともに荒物屋「あかにし」を再興させた努力が感じられるような、芯の通った一面が感じられる。

 清子もるいも、赤螺家とるいの母・安子(上白石萌音)に縁があることには気づいていない。けれど、回転焼き屋を始めたるいに「大変やろうけどおきばりやす」と優しく労いの言葉をかけ、清子と吉右衛門にとってなつかしい味を求めに、たびたび回転焼きを買いにくるなど、るいたちの生活を温かく見守る存在になることは間違いない。それに何より、松原の穏やかな笑顔には安心感がある。息子の将来やるいたちの生活を思い、微笑む姿が魅力的だ。

朝ドラ初出演のおいでやす小田演じる、酒屋のおじさんこと森岡新平

 第61回で、回転焼き屋を開店させたるいが「おいでやす」と客を呼び込んでいたが、そこへやってきたのが、おいでやす小田演じる森岡である。連続テレビ小説初出演となる小田は「信じられません。一年前、こんなことになるなんて誰が予想できたでしょう」※とコメントしているが、初出演とは思えぬほど自然に京都編の舞台に溶け込んでいる。

 芸人らしい面白い演出も多々ある。例えば、チラシを配る錠一郎への「見たら分かるやろ、おっちゃん手塞がってんねや」のツッコミや「奥さん! えらいこっちゃ」と慌てふためく様、小田の芸風らしく、大声でツッコむような言い回しなど。もちろんそれらも十分魅力的だが、小田はごく普通の下町のおじさんを見事に演じている。「1つくれるか」と回転焼きを注文するシーンは日常を切り取ったようで、どこかほのぼのとした雰囲気があった。

 京都編はまだ始まったばかり。るいと錠一郎、そして時代劇大好きな女の子に成長したひなた(新津ちせ)を見守る彼らの今後の動きにも注目したい。

※参考
https://realsound.jp/movie/2021/11/post-895345.html

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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