『カムカム』るいと錠一郎が歩むサニーサイド 第62話に散りばめられていた安子編の軌跡

 そして、怖がる錠一郎にるいが声をかける「大丈夫、顔上げて漕ぎ続けとったら前へ進むから」は、稔と同じセリフでもある。るいは父と一度も会ったことはないが、こうして本人も知らないところで稔の面影を受け継いでいるのだ。るいが過労で倒れる場面も安子編をフラッシュバックさせる描写でもあるが、この第62話は暖かな春の日差しがひなたの道に繋がっていくような、そんな希望を感じさせる構成である。

 病院のテレビに流れる、岡山東商業が岡山県勢として初めて甲子園での優勝を決めた吉報。勇(村上虹郎)がるいの出産を聞いたらどれほど嬉しがるだろう、安子編の登場人物を想起させる細かな演出要素が多くインサートされたのが第62話だ。

 第14週では「1965-1976」と10年近く年代が動く。日本舞踊の師匠との結婚を決めたベリーこと一子(市川実日子)、吉右衛門(堀部圭亮)と恋の予感がしていたそば屋の初美(宮嶋麻衣)。るいたちだけでなく、周りの人物の関係性も一気に変化していくだろう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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